18 GHzのノイズソースの出力に、400 MHzの**LPF(ローパスフィルタ)**を使用する利点は、主に以下の二点にあると考えられます。
💡 100 MHz DUT測定におけるLPF使用の目的
1. 測定帯域外のノイズ除去とノイズソースのSパラメータ改善
ノイズソースは非常に広帯域(この例ではDC~18 GHz)にわたってノイズを出力しますが、NF測定に必要なのは、被測定物(DUT)の帯域幅(今回は100 MHz付近)のノイズだけです。
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帯域外ノイズの除去: 18 GHzノイズソースは、DUTの動作周波数である100 MHzよりもはるかに高い周波数帯(例:1 GHz、10 GHzなど)にもノイズ成分を出しています。この不要な高周波ノイズをLPFによって減衰させます。
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ノイズソースの安定性(S11/VSWR)改善: 広帯域のノイズソースは、特定の高周波帯域で出力インピーダンスのVSWR(電圧定在波比)が劣化することがあります。DUTの入力側から見たノイズソースのVSWRが悪いと、反射により測定誤差が増大します。
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フィルタを挿入することで、DUTの動作周波数帯域(100 MHz)においては、フィルタがノイズソースとDUTの間でインピーダンス整合を改善するバッファの役割を果たし、測定精度を向上させることができます。
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2. 測定器のオーバロード防止(ノイズパワーの管理)
NF測定システム(特にノイズフィギュアアナライザ)は、その入力ポートで測定可能な最大入力電力レベルが定められています。
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過剰なノイズ電力の防止: 18 GHz全体にわたるノイズソースの総出力電力は非常に大きくなります。特に利得の高いDUTを測定する場合、この総ノイズ電力がDUTやノイズフィギュアアナライザの入力段を**飽和(オーバロード)**させてしまう可能性があります。
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対策: LPF(400 MHzカットオフ)を通すことで、測定に不要な高周波ノイズ電力を大幅に除去し、システム全体の飽和を防ぎます。
🎯 なぜ400 MHzのLPFを使用するのか?
DUTの周波数が100 MHzであるにもかかわらず、カットオフ周波数として100 MHzではなく400 MHzのフィルタを選択したのには、以下のような理由が考えられます。
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測定帯域幅の確保: 100 MHzのLNAであっても、NF測定器はしばしば一定の帯域幅(例:数MHz)でノイズ電力を積分して測定します。100 MHzギリギリのカットオフでは、LNAの帯域全体をカバーできない可能性があります。
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フィルタの減衰特性: 理想的なフィルタは存在せず、カットオフ周波数付近で緩やかに減衰が始まります。400 MHzに設定することで、DUTの動作帯域である100 MHzでは挿入損失を最小限に抑えつつ、そのはるか上の帯域のノイズは効果的に除去できます。
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高調波成分の除去: 100 MHzの信号の高調波成分(2次:200 MHz、3次:300 MHzなど)がDUT内で発生する可能性があります。400 MHzのLPFであれば、これらの低次の高調波成分も十分に取り除き、測定器への影響を最小限に抑えることができます。
このフィルタの使用は、高精度なNF測定を実現するための、広帯域ノイズソースと狭帯域DUTの間のインターフェース調整として非常に合理的な手段です。
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