
3相電圧形インバータにおける180度通電と120度通電の主な違いは、スイッチング素子のオン期間とそれによって生じる出力波形、そしてその用途にあります。
180度通電
180度通電方式は、各相の上下アームにあるスイッチング素子が、1周期の180度ずつ交互にオンになる制御方法です。
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特徴:
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常に2つのスイッチング素子がオンの状態を維持します。これにより、出力端子間の電位が常に定まります。
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出力される線間電圧は、矩形波に近い波形となります。
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電圧利用率が高く、効率的な駆動が可能です。
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一般的に、ACサーボモータや誘導モータの駆動に広く用いられます。
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120度通電
120度通電方式は、各相のスイッチング素子が、1周期の120度ずつオンになる制御方法です。
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特徴:
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常に2つ以上のスイッチング素子がオンになることはありません。特定の期間で、スイッチがすべてオフになるゼロ電位期間が存在します。
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出力電圧波形にゼロ電位期間が含まれるため、180度通電方式に比べて電圧利用率は低くなります。
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ブラシレスDCモータ(BLDCモータ)の駆動によく用いられます。この方式では、モータの回転子の位置に応じて通電相を切り替えるため、トルクリプル(トルクの変動)が生じやすいです。
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制御回路が比較的単純で、安価にシステムを構築できるという利点があります。
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まとめ
項目 | 180度通電 | 120度通電 |
素子のオン期間 | 180度 | 120度 |
同時にオンの素子数 | 常に2つ | 最大2つ、ゼロ電位期間あり |
出力電圧 | 矩形波に近い | 矩形波でゼロ電位期間あり |
電圧利用率 | 高い | 低い |
主な用途 | ACサーボモータ、誘導モータ | ブラシレスDCモータ (BLDCモータ) |
制御の複雑さ | 比較的複雑 |
比較的単純 |
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