SIGLENT(シグレント)ベクトル信号発生器 SSG6082A-V シリーズ

5G RedCapReduced Capability)は、5G New Radio (NR) の機能を一部制限することで、IoT (Internet of Things) 端末向けに低コスト低消費電力を実現した新しい通信規格です。別名 5G NR-Light とも呼ばれます。

フルスペックの5Gほどの高速通信や超低遅延は必要ないものの、従来のLTE Cat.1やCat.M1よりも高い性能(中〜中高速通信)が求められるIoTユースケースのために、3GPP Release 17で策定されました。


 

主な特徴とメリット

 

特徴 内容 メリット
機能の削減 帯域幅の制限(Sub-7 GHz帯で最大20MHz)、アンテナ数の削減(フル5Gの4本に対し、RedCapは2本または1本)、全二重通信(FDD-NR)ではなく半二重通信を採用など。 端末の複雑性が低下し、小型化低コスト化を実現します。
低消費電力 eDRX(Extended Discontinuous Reception)機能により、端末が信号を受信しない「スリープ」状態の時間を長く設定でき、バッテリーの長時間駆動が可能になります。 電池駆動のウェアラブルデバイスやセンサーの運用性が向上します。
中~中高速通信 LTE Cat.1/Cat.4と同等のデータレート(最大$100 \text{Mbps}$未満)を維持しつつ、5Gの基盤(ネットワークスライシング、低遅延性、高度な測位など)を活用できます。 LTEでは対応が難しかった、中程度のデータレートが必要な用途をカバーします。

 

主な応用分野(ユースケース)

 

5G RedCapは、特に以下の分野での活用が期待されています。

  1. ウェアラブルデバイス

    • スマートウォッチ、フィットネストラッカー、ARグラスなど。小型化とバッテリー寿命の向上が重要です。

  2. 産業用IoT (IIoT)

    • 製造ラインのセンサー、AGV(自動搬送ロボット)の連携、インフラ監視。高い信頼性と、ある程度のデータレートが必要です。

  3. 監視カメラ・ビデオ監視

    • 超高画質ではないものの、安定した映像ストリーミング(中速通信)とデバイスの小型・低コスト化が求められるモバイル監視カメラなど。

  4. ヘルスケア

    • 遠隔診療、生体情報リアルタイム取得用の医療機器。

5G RedCapは、フルスペックの5Gと、超低速・超低消費電力のLPWA(LTE-MやNB-IoT)との間の性能帯域を埋めることで、5GのIoTエコシステムを拡大する役割を担っています。

 

 

下記資料では「5G RedCap」についてApple Watchを例に詳しく解説されています。

藤岡雅宣の「モバイル技術百景」

Apple Watch新シリーズがサポートするRedCapとは? モバイルネットワークにおけるIoT

https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/fujioka/2050885.html