AC/DC耐電圧、絶縁抵抗、高低電圧パラメータとは
~製品の絶縁品質と安全性を評価するための基本試験項目~
■ AC耐電圧試験(AC Hi-Pot)
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定義:製品の絶縁部に交流高電圧(AC)を数秒~数分間印加し、耐えられるかどうかを確認する試験
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目的:絶縁材料や構造が、使用環境で発生し得る異常電圧(サージ・誘導電圧)に対して破壊しないことを確認
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印加例:AC 1000 V, 1500 V, 2500 Vなど(商用周波数50/60 Hz)
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判定方法:漏れ電流がしきい値以下であれば合格、超過すれば不良・破壊
✔ 特徴
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漏れ電流の充放電動作を含む実動作評価に近い
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トランス、モータ、ハーネス、AC電源機器などで広く使用
■ DC耐電圧試験(DC Hi-Pot)
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定義:直流高電圧を印加して絶縁耐性を確認する試験
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目的:静電容量の充電後に一定の電位差がかかり続ける状況下での絶縁強度確認
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印加例:DC 500 V, 1000 V, 2500 V, 5000 V など
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用途:MLCC、フィルムコンデンサ、リチウム電池パック、DCモータなど
✔ 特徴
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測定中のリーク電流を安定して数値化しやすい
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電荷が残るため、試験後の放電処理(安全設計)が必須
■ 絶縁抵抗測定(Insulation Resistance Test / IR)
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定義:2つの導体間に一定の直流電圧を印加し、その間の漏れ電流から絶縁抵抗値(R = V/I)を算出する試験
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単位:MΩ、GΩ
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印加電圧例:DC 100 V、500 V、1000 V など
✔ 用途・ポイント
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高抵抗(絶縁状態)を定量評価できる
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ケーブル、コネクタ、基板、モジュールの絶縁劣化検出
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耐電圧試験の前段階のスクリーニングとして実施されることも多い
■ 高低電圧パラメータ(High/Low Voltage Parameters)
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定義:製品や部品に対して、「定格を超える高電圧環境」と「微小信号や低電圧環境」それぞれでの性能特性・安全性を評価する指標群
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該当する項目の例:
分類 | パラメータ | 内容 |
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高電圧側 | AC/DC耐電圧、IR、放電耐性、ブレークダウン電圧、サージ耐量 | 絶縁・安全性評価に直結 |
低電圧側 | バイアス印加特性(C-V特性)、漏れ電流、入力電圧感度 | 動作特性・初期応答に関与 |
✔ 測定機器例:
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AC/DC耐圧試験器(Hi-Pot Tester)
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絶縁抵抗計(メガー)
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C-V測定器・パラメトリックアナライザ(低電圧評価)
■ まとめ
試験項目 | 内容 | 主な対象 | 判定基準の例 |
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AC耐電圧 | AC高電圧を印加し絶縁破壊が起きないか確認 | トランス、電源、ハーネス | AC 1500 V / 1 分間、漏れ電流 < 5 mA |
DC耐電圧 | DC高電圧によるリークチェックと耐性評価 | 電池、フィルムコンデンサ、パワーデバイス | DC 1000 V、1 分、IR > 1000 MΩ |
絶縁抵抗 | 絶縁性の定量評価(R = V/I) | コネクタ、ケーブル、基板 | 印加電圧 500 V、IR > 100 MΩ |
高低電圧パラメータ | 電気特性を電圧範囲で解析 | デバイス/材料 | Vth、C-V変化、漏れ電流増加など |
■ T&Mでのご提供例
T&Mコーポレーションでは、以下のような製品・ソリューションを提供可能です:
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✅ AC/DC耐電圧試験器(1 kV〜5 kV):自動化対応、安全機構付き
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✅ 絶縁抵抗計:高抵抗域(〜GΩ)でも安定測定可能なモデル
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✅ C-V測定 + バイアス評価一体型システム:半導体・材料評価に最適
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✅ 巻線部品やハーネス用総合試験機:RDC、Hi-Pot、IRを一括評価