SIGLENT(シグレント) ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA5000Aシリーズ

AIを用いたシールド設計支援 — NGnetを用いたトポロジー最適化によるFSSの最適設計 —」について解説します。

これは、FSS(周波数選択性表面) の設計という電磁波シールドの難問に、AI(機械学習)トポロジー最適化を組み合わせて挑む、非常に高度な研究テーマです。


 

🛡️ 技術概要:FSSと設計課題

 

 

FSS (Frequency Selective Surface) とは

 

FSSは、特定の周波数帯の電磁波を透過または反射するように設計された2次元の周期的な金属パターン構造です。

  • 用途: 特定のノイズのみを遮断したい、またはアンテナなどで特定の周波数だけを通過させたいシールドやフィルタリングの用途に用いられます。

  • 構造: 誘電体基板上に、クロス、リング、パッチなどの形状が周期的に配置されています。

 

設計課題

 

FSSの設計では、目標とする遮断特性(透過・反射)を達成するために、パターンの形状サイズ周期などを最適化する必要があります。この設計空間は非常に広く、従来のパラメータスイープ経験則に基づく方法では、最適な解を見つけるのが困難で、多大なシミュレーション時間を要します。


 

🤖 AIによる解決アプローチ

 

この課題を解決するために、NGnet (Neural-network Guided Topology Optimization) とトポロジー最適化が組み合わされます。

 

1. トポロジー最適化 (Topology Optimization)

 

トポロジー最適化は、与えられた設計領域内で材料をどこに配置するかを決定し、特定の性能(この場合は電磁波の遮断特性)を最大化する構造を導き出す手法です。

  • 従来の問題点: トポロジー最適化自体は計算コストが高く、特に複雑な電磁波問題では時間がかかります。

 

2. NGnet (Neural-network Guided) の役割

 

NGnetは、トポロジー最適化プロセスを加速し、高性能な設計を効率的に見つけるためにAI(ニューラルネットワーク)を活用します。

  • 予測とガイド:

    1. 順問題の学習: まず、ニューラルネットワークに**「形状(トポロジー)」** を入力として、それに対応する**「電磁波特性(透過/反射率)」** を出力とする関係を学習させます。

    2. 逆問題への応用(設計ガイド): 最適化の過程で、ネットワークは**「目標とする特性」** を達成するために**「どのような形状が望ましいか」** を予測し、トポロジー最適化アルゴリズムを適切な初期解や探索方向へと誘導(ガイド)します。

  • 高速化: シミュレーションによる評価を最小限に抑え、AIの高速な予測に基づいて探索を行うため、設計時間が大幅に短縮されます。

 

3. FSSへの適用

 

NGnetを用いたトポロジー最適化をFSSに適用する具体的な流れは以下の通りです。

  1. 目標設定: 設計したい遮断周波数透過率を目標値として設定します。

  2. 初期学習: 過去のFSS設計例やシミュレーション結果のデータセットを使って、NGnetを事前学習させます。

  3. 最適化実行:

    • トポロジー最適化アルゴリズムがFSSのパターン形状を変化させます。

    • 形状の評価は、電磁界シミュレーションとNGnetの予測を組み合わせて行われます。NGnetが高速なフィードバックを提供することで、探索が迅速に進みます。

  4. 最終構造の決定: 目標特性を最もよく満たすFSSの金属パターン(トポロジー)が自動的に導き出されます。

このアプローチにより、従来の直感や試行錯誤では到達できなかったような、高性能かつ複雑なFSS構造の設計が可能になります。

 

 

 

 

 

参考:

「初めてのスペアナによるEMIノイズ対策」 スペアナによるEMIノイズ測定の手順書を差し上げています。

「初めてのスペアナによるEMIノイズ対策」

  • 全82ページの図解による手順書
  • 普段スペアナを使用しない方向け
  • オシロスコープとの違いから紹介
  • 近接プローブでのノイズ源探索
  • EMIプリコンプライアンスモード紹介

初めてのスペアナによるEMIノイズ対策(抜粋)

資料は下記フォームよりご依頼ください。
http://tm-co.co.jp/contact/

 

SIGLENT お買い得キャンペンーン実施中(~2026/03/31まで)
https://tm-co.co.jp/siglent-campaign/

SSA3000X-R シリーズ リアルタイム・スペクトラム・アナライザ
・周波数レンジ: 9kHz to 3.2/5.0/7.5GHz
・VNAモード:S11,S21同時測定
・リアルタイム帯域:25MHz(std.),40MHz(opt.)
価格:82万円~
・今ならEMIオプションなどが無料!
 SSA3000XR -EMI ¥170,000
 -EMI測定キット

 (EMIフィルタ、準尖頭値検波器、EMI測定モード)

 

姉妹機も実施中(EMI測定機能は同じです)
※SSA3000X-Plus(スペアナ+TG) 22万円~
※SVA1000X (スペアナ+VNA)26万円~