SIGLENT (シグレント)スペクトラム・アナライザ SSA3000X PLUSシリーズ

CISPR 25は、車載電子機器から発生する妨害波(エミッション)を評価するための国際規格です。これにより、車両内に搭載されたラジオ受信機(AM/FMラジオ、GPS、Bluetoothなど)が、他の車載電子機器から発せられる電磁ノイズによって干渉されるのを防ぐことを目的としています。


 

主な対象と目的

 

CISPR 25は、自動車、船舶、内燃機関を搭載した機器、およびそれらに使用される電子部品やモジュールを対象としています。この規格の主な目的は、車内での自己両立性(Self-compatibility)を確保することです。つまり、一つの車載機器が、同じ車両内の他の機器の正常な動作を妨げないように、放射されるノイズを規定の制限値内に収めるための試験方法と許容値を定めています。


 

評価方法

 

CISPR 25では、主に以下の2つのタイプのノイズエミッションを評価します。

 

1. 伝導エミッション

 

電子機器の電源線やハーネスを通じて伝わるノイズを測定します。

  • 電圧法: 疑似電源回路網(LISN: Line Impedance Stabilization Network)を用いて、電源ライン上のノイズ電圧を測定します。

  • 電流プローブ法: 電源ハーネスに電流プローブを巻き付け、流れるノイズ電流を測定します。

 

2. 放射エミッション

 

電子機器の筐体やハーネスから空間に放射されるノイズを測定します。

  • ALSE(Absorber-Lined Shielded Enclosure)法: 電波吸収体付きシールドルーム(電波暗室)内で、供試体(DUT: Device Under Test)から放射されるノイズをアンテナで測定します。この方法が最も一般的です。

  • TEMセル法、ストリップライン法: コンポーネントレベルの測定に用いられる、特定の試験セル内でノイズを評価する方法です。


 

測定周波数範囲と制限値

 

CISPR 25は、150 kHzから5.925 GHzまでの広範囲な周波数帯域をカバーしています。この周波数帯域には、AM/FMラジオ、テレビ放送、地上移動無線、GPS、Wi-Fi、Bluetoothなどが含まれます。規格では、これらの各周波数帯域に対して、ノイズのピーク値、準ピーク値、平均値の許容制限値が定められています。

 

クラス分類

 

CISPR 25では、自動車メーカーやサプライヤーが独自の厳しい要件を設定できるように、異なる制限値レベルをクラスとして定義しています。数字が小さいほど、より厳しい制限値を要求します。例えば、クラス5は最も厳格な制限値であり、通常、高性能な機器やノイズに敏感なシステムに適用されます。


 

試験の重要性

 

CISPR 25に準拠した試験は、以下の点で重要です。

  • ノイズ問題の早期発見: 開発段階でエミッション問題を特定し、対策を講じることで、製品の再設計やリコールにかかるコストを削減できます。

  • 品質と信頼性の向上: 車載機器間の干渉を抑制し、車載システムの信頼性とユーザーの快適性を確保します。

  • 市場参入要件の遵守: 多くの自動車メーカーが、サプライヤーにCISPR 25への準拠を要求しています。これは事実上の国際的な市場参入要件となっています。

 

 

 

 

詳細情報: 株式会社 e・オータマ  https://www.e-ohtama.jp

CISPR 25の概要 — 車載機器のエミッションの評価 (ed. 3)

https://www.emc-ohtama.jp/emc/doc/cispr25-explained.pdf

 

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