Cs、Cpとは

~同じ“容量”でも回路モデルによって測定値が異なる!~


■ 定義

LCRメーターなどでコンデンサの容量を測定する際、測定対象の等価回路モデル(直列 or 並列)に応じて計算される容量値が以下のように定義されます:

表記 名称 測定モデル 特徴
Cs 直列等価容量(Series Capacitance) 抵抗とコンデンサが直列のモデル(R–C直列) 高損失部品やESRが高い場合に適する
Cp 並列等価容量(Parallel Capacitance) 抵抗とコンデンサが並列のモデル(R‖C) 低損失部品や理想コンデンサに近いものに適する

■ なぜ2種類の容量があるのか?

実際のコンデンサや部品は理想的なC(容量)だけでなく、ESR(等価直列抵抗)やリーク(漏れ)といった損失要素を含むため、それらをどう扱うかによってモデルが変わります。

  • 損失が小さい部品(高Q)→ Cpで測定

  • 損失が大きい部品(低Q、タンタル・電解など)→ Csで測定

  • 一般的な部品測定では、自動で最適モデル(Cs or Cp)を選択するモードもあります。


■ 選び方の目安

状況 推奨モード
Q値が高い(Q > 10) Cp(並列)モードが安定
Q値が低い(Q < 3) Cs(直列)モードが適切
損失を無視して理想容量に近い値が欲しい Cpが適する
ESRと合わせて容量を正確に評価したい Csが適する(特に高周波領域)

■ 測定器での設定例(LCRメーターなど)

定条件例:
周波数:1 kHz
信号レベル:1 V
モード:Cs-R
→ 結果:Cs = 9.85 µF、R = 0.26 Ω
モード:Cp-D
→ 結果:Cp = 10.1 µF、D = 0.012

同じ部品でも、モデルが異なると容量値に数%の差が出ることがあります。


■ まとめ

Cs(直列等価容量)とCp(並列等価容量)は、**コンデンサや容量性デバイスの測定モデルに応じた“見かけの容量値”**であり、選択するモデルによって測定結果や解釈が変わる点が重要です。

T&Mコーポレーションでは、測定対象や評価目的に応じてCs/Cp切替が可能なLCRメーターやインピーダンスアナライザをラインアップしております。
用途(MLCC選別、高周波素子評価、センサ特性解析など)に応じた最適な測定構成のご提案も可能です。