✅ DMMでの電流測定
① 電流測定の基本原理
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電流は 回路の電荷の流れそのもの
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DMMは「シャント抵抗」を使い、電流による電圧降下を測定し電流に換算する
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通常のDMMでは直流(DC)・交流(AC)両方の測定が可能
② 基本的な接続方法
測定対象 | 接続方法 |
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電流測定 | 必ず直列に接続 |
電圧測定 | 並列に接続 |
③ 実務での重要注意点
A. 接続ミスの注意
よくあるミス | 危険度 | 結果 |
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並列に接続 | 高 | 回路短絡、ヒューズ断線 |
電圧端子のまま電流測定 | 中 | 誤表示(電流流れず0A表示) |
電流端子のまま電圧測定 | 高 | 大電流流入 → ヒューズ溶断 → 内部破損 |
B. レンジ設定の注意
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電流の大きさが不明なときは 「高レンジから入って下げる」 が鉄則
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突入電流(インラッシュ)に注意
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定格以上の電流が流れるとすぐヒューズが溶断
C. ヒューズに関する注意
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電流端子には必ず保護用ヒューズが入っている
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ヒューズが切れていると常に「0A」表示になり誤解しやすい
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交換時は純正・安全規格適合品を使う
D. 測定端子の入れ替え忘れ注意
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測定後に電流端子のまま放置すると、次の測定で事故になる
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測定終了後は端子を必ず戻す習慣を付ける
④ 安全に関する注意
危険 | 内容 |
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感電リスク | 電流測定中は測定対象に直接接続されるため感電リスクが高い |
火災リスク | 大電流流入による内部部品の発熱・発煙 |
アーク放電 | 高電圧回路測定中の接続ミス |
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CAT規格に適合したDMMを使う(IEC61010-1など)
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絶縁手袋や保護メガネも有効
⑤ 電流測定の応用的な注意点
状況 | 注意すること |
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インラッシュ電流測定 | 瞬時に大電流が流れるためヒューズ切れに注意 |
交流電流測定 | DMMのAC電流帯域が狭いことがある(50/60Hz中心) |
高周波電流測定 | DMMは通常不向き → クランプメータや電流プローブを使用 |
大電流測定 | 一般DMMは10A程度まで → クランプメータ・シャントユニットが必要 |
⑥ よくある誤解と実際
誤解 | 実際 |
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電流は電圧と同じように測ればいい | 直列測定が必要 |
ヒューズが切れたらどのヒューズでもいい | 安全規格品が必要 |
AC電流も万能に測定できる | 周波数帯域に制限あり |
✅ まとめ
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電流測定は事故リスクが最も高い測定
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接続、レンジ、ヒューズ、安全 を常に確認
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誤操作でヒューズ破損 → 内部回路破損 → 本体故障の流れに注意
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DMM選定時はCAT規格・ヒューズ仕様・耐圧設計も確認すると安心
✅ 一言アドバイス
「電流測定はDMMの一番壊れるポイント。
操作前に端子・レンジ・対象電流の確認をするクセが安全。」
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