✅ EMI対策の基本

**EMI(Electromagnetic Interference:電磁妨害)**とは、電子機器から意図せず発生する電磁波(ノイズ)が、周囲の機器やシステムの動作に悪影響を与える現象を指します。
EMI対策とは、この不要なノイズの発生を抑制し、外部への干渉を防ぐための技術・設計上の工夫のことです。

🔧 主なEMI対策方法

分類 具体例
回路設計の工夫 配線短縮、グラウンド強化、デカップリングコンデンサ
部品選定 低ノイズICの採用、ノイズ抑制フィルタの使用
シールド対策 金属筐体、導電塗装、EMIガスケット
ノイズフィルタリング ACインレットのEMIフィルタ、ラインフィルタの追加
レイアウト改善 信号線と電源線の分離、クロストーク低減

✅ 開発段階でのEMI対策のポイント

  • 近傍界プローブでノイズ源を可視化する

  • LISNを使って電源ノイズを測定する

  • パターン変更前に対策部品を仮付けして効果を確認する


✅ ESD試験とは

ESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)試験とは、人や物体から機器に放電された静電気による影響を評価する試験です。
機器の誤動作や故障を引き起こす静電気への**耐性(イミュニティ)**を確認するために行います。

⚡ ESDの典型的な発生源

  • 人体からの接触(指先、着衣、摩擦)

  • プラスチック筐体のこすれ

  • コネクタの抜き差し

🔬 ESD試験の概要

試験条件 内容
試験方法 IEC 61000-4-2準拠(直接放電/間接放電)
印加電圧 ±2kV~±15kV程度(接触/空間放電)
試験場所 導電性床・金属板などを使用したESD試験環境
判定基準 誤動作・通信断・復旧可否などで評価

✅ 近傍界測定とは

近傍界測定(Near-field scanning)とは、電子機器から発生するノイズを装置のごく近く(数mm〜数cm)で検出する手法です。
主にEMI対策の初期段階で、ノイズ源の特定や対策効果の比較に使用されます。

🔍 使用される測定器

機器 目的
近傍界プローブ(E/H面) 高周波磁界/電界をピンポイントで検出
スペクトラムアナライザ ノイズの周波数成分と強度を表示
プリアンプ 微弱信号の検出感度を向上させる補助機器

📌 特長とメリット

  • 開発現場での簡易・迅速なノイズ診断が可能

  • ノイズが出ているIC・配線・部品単位で局所的に評価可能

  • ノイズ対策(シールド・フィルタなど)の効果確認に有効

✅ 注意点

  • 近傍界測定は正式なEMC認証試験ではない
     → あくまで開発・予備評価用の手段