EN 17240:2024規格は、次世代eCall（NG eCall）の適合性試験に関する欧州規格です。
eCall（Emergency Call）は、自動車の事故発生時に自動または手動で緊急通報を行うシステムです。従来のeCallは2G/3G回線交換方式のネットワークを利用していましたが、次世代eCallは4G LTEや5G NRといったIPベースのパケット交換ネットワークを利用します。
次世代eCallの主な特徴
-
高速・高信頼性: 4G/5Gネットワークを利用することで、従来のeCallよりも高速かつ確実に緊急通報ができます。これにより、より迅速な救助活動につながります。
-
データ伝送の高度化: 従来の最低限の情報（位置情報、車両の進行方向など）に加え、より詳細なデータを送ることが可能になります。
-
マルチメディア対応: 将来的には、ビデオやテキストでの通信など、マルチメディア機能の追加も視野に入れられています。
EN 17240:2024規格の役割
EN 17240:2024は、この次世代eCallシステムが正しく機能するかどうかを検証するための試験要件を定めています。具体的には、車両側の車載システム（IVS: In-Vehicle System）と、公共安全応答拠点（PSAP: Public Safety Answering Point）間の通信が、IPベースのネットワーク（IMS: IP Multimedia Subsystem）上で正しく確立され、必要な情報が問題なく伝送されることを確認するためのガイドラインを提供します。
欧州連合では、2026年1月1日以降に販売されるすべての新型車に、この次世代eCallの搭載を義務付ける規制が導入されています。そのため、自動車メーカーは、この規格に準拠したテストを行い、車両の型式認定を受ける必要があります。
EN 17240:2024規格は、eCall（緊急通報システム）のエンドツーエンド適合性試験に関する規格です。この規格は、事故や緊急事態が発生した際に、車両から公共安全応答拠点（PSAP）へ緊急メッセージを送信するための手順を定めています。試験方法は、主に以下の2つの側面を含みます。
技術的適合性試験
この試験は、車両に搭載されたeCallシステムが、技術的な要求事項に準拠していることを確認します。これには、IMS（IP Multimedia Subsystem）パケット交換ベースのシステムを通じて、eCall通信セッションを確立し、緊急メッセージを転送できるかどうかが含まれます。具体的には、システムの通信プロトコル、データフォーマット、応答時間などを検証します。
機能的適合性試験
この試験は、eCallシステムが、さまざまな緊急シナリオで正しく機能するかどうかを検証します。例えば、衝突やエアバッグ展開をシミュレーションし、システムが自動的に緊急通報を発信する動作を確認します。また、手動でeCallを作動させる機能や、PSAPとの間で音声通話が確立できるかどうかもテストされます。
この規格は、eCallシステムの信頼性を確保し、緊急時に適切な対応を可能にすることを目的としています。試験は、車両と通信ネットワーク、そしてPSAP側のシステム全体を対象に行われます。