CMP(化学的機械研磨)は、半導体製造の「前工程の前半(FEOL)」と「前工程の後半(BEOL)」の両方で不可欠ですが、その目的と削る対象が大きく異なります。
一言で言えば、**FEOL CMPは「トランジスタ(素子)を作るための土台作り」**であり、**BEOL CMPは「多層配線をつなぐための平坦化」**です。
1. FEOLにおけるCMP (Front End Of Line)
FEOLはシリコンウェハ上にトランジスタそのものを形成する段階です。ここでのCMPは、極めて高い精度と、デバイス特性を左右する「汚れ(汚染)」への厳格な管理が求められます。
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主な目的: 素子分離構造(STI)の形成や、ゲートの高さの均一化。
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代表的なプロセス:
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STI-CMP (Shallow Trench Isolation): トランジスタ間に掘った溝に絶縁膜を埋め、余分な膜を削って平坦にします。これにより、隣り合うトランジスタが電気的に混ざらないようにします。
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ゲート形成用CMP: メタルゲートなどを形成する際、余分な金属(タングステン等)を削り取り、高さを揃えます。
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特徴: * セリア(酸化セリウム)などのスラリーがよく使われます。
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トランジスタの性能に直結するため、ナノレベルの平坦度が求められます。
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2. BEOLにおけるCMP (Back End Of Line)
BEOLは、完成したトランジスタ同士を金属の線でつなぐ配線工程です。現代のチップは配線が10層以上に重なるため、各層を「真っ平ら」にしないと、上の層を重ねることができません。
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主な目的: 多層配線を実現するための層間絶縁膜(ILD)の平坦化、およびメタル配線の形成。
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代表的なプロセス:
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銅ダマシンCMP (Cu-CMP): 絶縁膜に掘った溝に銅を埋め込み、表面の余分な銅を削ります。
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層間絶縁膜 (ILD) CMP: 配線層の上に積んだ絶縁膜の凹凸を平坦化します。
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特徴:
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シリカ(二酸化ケイ素)スラリーなどが主流です。
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銅(Cu)を扱うため、酸化剤や腐食防止剤を含む複雑な化学反応を利用します。
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3. FEOL CMPとBEOL CMPの比較
| 項目 | FEOL CMP | BEOL CMP |
| 主な対象材料 | 酸化膜(SiO2)、窒化膜、ポリシリコン | 銅(Cu)、層間絶縁膜(低誘電率膜) |
| 役割 | 素子分離(STI)、ゲート形成 | 多層配線の平坦化、銅配線形成 |
| 難易度 | トランジスタ特性への影響が大 | 多層化に伴う「累積の平坦度」の維持 |
| 汚染管理 | 極めて厳しい(金属汚染厳禁) | 比較的緩和されるが、銅の拡散に注意 |
4. 最新トレンド:MEOLと裏面CMP
最近の微細化プロセスでは、FEOLとBEOLを繋ぐ「MEOL(Middle End Of Line)」でのコンタクト形成CMPや、先ほど話題に出た「裏面電源供給」のためのウェハ裏面を削るCMPも非常に重要になっています。
FEOL/MEOL/BEOLの詳細な解説動画
この動画では、半導体製造におけるFEOL、MEOL、BEOLの各工程が物理的な構造としてどのように積み上がっていくのか、全体像を分かりやすく解説しています。
出典:Google Gemini
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