G、B、Y、D、Qとは?

~インピーダンスの逆数=アドミタンス系パラメータと損失係数~


■ 基本概念:アドミタンスとは?

インピーダンス(Z)が「電気の通しにくさ」を示すのに対して、
その逆数である**アドミタンス(Y)**は「電気の通しやすさ」を表します。

 
Y(アドミタンス)= 1 / Z(インピーダンス) → 単位:シーメンス(S)

アドミタンスは 実数成分(G)と虚数成分(B) に分解されます。


■ 各パラメータの定義と意味

記号 名称 単位 定義・意味
Y アドミタンス(Admittance) S(シーメンス) インピーダンスの逆数(Y = 1/Z)
G コンダクタンス(Conductance) S アドミタンスの実数成分=電力損失に対応(導通のしやすさ)
B サセプタンス(Susceptance) S アドミタンスの虚数成分=蓄積エネルギーの応答(容量性/誘導性)
D 損失係数(Dissipation Factor) 無次元 D = 1 / Q、または D = tanδ。コンデンサの損失を示す
Q 品質係数(Quality Factor) 無次元 Q = 1 / D =

■ インピーダンスモデルとの対応関係

モデル 表現(インピーダンス) 表現(アドミタンス)
並列回路 Z = R ‖ C or L Y = G + jB(G:コンダクタンス、B:サセプタンス)
直列回路 Z = R + jX —(アドミタンスに変換する場合あり)

■ 応用例と用途

パラメータ 主な用途・対象 解釈・評価
G 絶縁材料、漏れ電流評価 高Gは漏れが多く絶縁が悪い指標
B 容量性センサー、MEMS素子 容量・誘導の変化を感度良く測定
Y 高周波回路・フィルタ設計 通過性能の良さ(Sパラメータにも関係)
D コンデンサ損失評価 Dが小さいほど理想コンデンサに近い(高周波MLCCなど)
Q インダクタ・共振回路 Qが高いと損失が少なく、共振が鋭くなる(RF設計に必須)

■ 具体例(数値)

たとえば、あるコンデンサを1 MHzで測定した結果:

mathematica
Cp = 1000 pF
D = 0.01
Q = 100
G = D × ωC = 0.01 × 2π × 10⁶ × 1000×10⁻¹² ≒ 62.8 µS
B = ωC = 2π × 10⁶ × 1000×10⁻¹² ≒ 6.28×10⁻³ S = 6.28 mS

■ まとめ

記号 意味 特徴
Y アドミタンス全体 インピーダンスの逆数、通電のしやすさ
G 実数成分 損失(リーク、導通)の指標
B 虚数成分 容量性/誘導性反応の度合い
D 損失係数 コンデンサ・材料の損失(D = 1/Q)
Q 品質係数 インダクタ・共振回路の効率、理想性の評価

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