GNSSモジュールとGNSSトラッカーは、どちらも衛星測位システムを利用しますが、機能の範囲と用途が異なります。
GNSS Module(GNSSモジュール)
GNSSモジュールは、**位置情報を取得・演算するための中心的な電子部品(LSIや基板)**です。
📌 役割
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衛星信号の受信・演算: GPS(米国)、GLONASS(ロシア)、Galileo(EU)、BeiDou(中国)、QZSS(日本)などのGNSS(Global Navigation Satellite System: 全球測位衛星システム)から発信される信号を受信し、それらを演算して現在地の緯度・経度・高度や時刻を割り出します。
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電子部品: 通常、プリント基板に実装するための小型のチップまたはユニット形状をしており、システム開発者が最終製品(トラッカー、ナビゲーション機器、ドローンなど)に組み込んで使用します。
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出力情報: 主に生の測位データ(NMEA形式など)をホストとなるマイコンやシステムに出力します。
💡 特徴
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機能限定: 測位機能に特化しており、それ自体には通信機能(セルラー、Wi-Fiなど)やバッテリー、筐体、ユーザーインターフェースは含まれていません。
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小型・低消費電力: 最終製品への組み込みを前提に、小型化、低消費電力化が追求されています。
GNSS Tracker(GNSSトラッカー)
GNSSトラッカーは、GNSSモジュールを核として、位置情報を遠隔地に送信し、追跡(トラッキング)を可能にする完成品または組み込みユニットです。
📌 役割
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位置情報の取得・送信: GNSSモジュールで取得した現在位置情報を、内蔵された**通信モジュール(セルラー/3G/LTE、Wi-Fi、LPWAなど)**を介してインターネット上のサーバーやスマートフォンアプリに送信します。
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位置追跡システム: 「どこにいるか」をリアルタイムまたは定期的に把握するためのシステム全体を指し、多くの場合、専用のバッテリー、筐体、アンテナ、追加のセンサー(加速度センサー、温度センサーなど)を備えています。
💡 特徴
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オールインワン: 「測位」と「通信」の機能が一体化しており、すぐに追跡用途に使用できます。
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応用分野: 車両管理、フリート管理、重機の盗難防止、作業員や高齢者・ペットの見守り、物流資産の位置管理、フィットネストラッカーなど、移動する対象物の位置把握が主な目的です。
違いのまとめ
| 項目 | GNSS Module(モジュール) | GNSS Tracker(トラッカー) |
| 主な機能 | 位置情報の取得・演算(部品) | 位置の取得と遠隔地への送信(製品/ユニット) |
| 構成 | 測位チップ/回路、アンテナ端子など | GNSSモジュール、通信モジュール、バッテリー、筐体、アンテナ、追加センサー |
| 出力 | 緯度・経度・時刻などの測位データ | サーバーやアプリへの位置情報データ送信 |
| 用途 | 開発者がシステムに組み込む部品 | ユーザーがすぐに追跡に利用する製品 |


