スペクトラムアナライザのIFリーケージとLOリーケージについて。
スペクトラムアナライザは、入力信号をミキサと呼ばれる回路で局部発振器(Local Oscillator, LO)と混合し、中間周波数(Intermediate Frequency, IF)に変換することで、周波数スペクトルを測定します。この過程で、理想的ではないミキサや回路構成が原因で、不要な信号成分が漏れ出すことがあります。これが「リーケージ」です。
LOリーケージ(Local Oscillator Leakage)
LOリーケージとは、スペクトラムアナライザの内部にある局部発振器(LO)の信号が、入力ポートやミキサの出力ポートに漏れ出す現象です。
発生原因:
ミキサのアイソレーション(分離)が不完全なため、LO信号がミキサの入力ポートや出力ポートに漏れ出す。
回路基板上での電磁的な結合や、シールドの不備などにより、LO信号が他の回路に漏れ出す。
スペクトラムアナライザでの表示:
測定周波数範囲の中心周波数(Center Frequency)に、LO周波数と同じ周波数のピークとして現れます。
このピークは、入力信号とは無関係に、スペクトラムアナライザ自身の内部動作によって発生するものです。
LOリーケージのレベルは、スペクトラムアナライザの性能を示す重要な指標の一つであり、高い性能を持つ機種ほどリーケージレベルが低く抑えられています。
IFリーケージ(Intermediate Frequency Leakage)
IFリーケージとは、中間周波数(IF)の信号が漏れ出す現象です。
発生原因:
ミキサの出力から次の段の回路にIF信号が送られる際、不完全なフィルタリングや回路の不備により、不要なIF信号成分が漏れ出す。
特にゼロIF(Zero IF)アーキテクチャを持つスペクトラムアナライザの場合、IFリーケージはDCオフセットとして現れることがあります。
スペクトラムアナライザでの表示:
入力信号の有無に関わらず、通常はIFフィルタの通過帯域内、つまりスペクトラムアナライザの表示上の基準レベル(Reference Level)付近に、ノイズフロアとは異なる余分なピークとして現れることがあります。
特にゼロIF方式では、中心周波数にDC成分として大きなピークが現れることがあります。
まとめ
項目 | LOリーケージ | IFリーケージ |
発生源 | 局部発振器(LO) | 中間周波数(IF) |
発生する場所 | ミキサの入力ポートや出力ポートなど | IF回路の出力など |
スペクトラムアナライザでの表示 | 中心周波数に現れる、スペアナ自身の発振信号 | 帯域内に現れる不要な信号成分 |
影響 | 小さな信号の測定を妨げたり、正しい測定結果を得るためのダイナミックレンジを低下させたりする。 | 信号の歪みやノイズの原因となり、特にゼロIF方式では中心周波数付近の信号測定を困難にする。 |
これらのリーケージは、スペクトラムアナライザの測定精度やダイナミックレンジに影響を与えるため、機器の性能を評価する上で重要な要素となります。メーカーは、シールド、フィルタリング、ミキサの設計などを工夫することで、これらのリーケージを最小限に抑えています。
アンテナ、信号発生器などからの信号をデバイダ(スプリッタ)などで分割し、1台のスペアナと1台のEMIレシーバで観測したり、1台のスペアナと1台のオシロスコープで観測しようとする場合、スペアナからのリーケージに注意が必要です。
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