
InGaAs MOSHEMT と GaN-on-Si E-mode MOSHEMT は、それぞれ異なる材料特性に基づき、優れた高周波特性を示します。主な高周波特性は、遮断周波数 () と 最大発振周波数 () で評価されます。
InGaAs MOSHEMT
InGaAsは電子移動度が高く、GaAsやSiと比べて格段に高速なスイッチングが可能です。これにより、高 、高 を実現します。特に、ゲート長を短くすることで、が350 GHz以上、fmaxが550 GHz以上といった、非常に優れた特性が得られています。この特性は、ミリ波やテラヘルツ波帯の通信デバイス、特に超高速トランジスタや低ノイズ増幅器に利用されます。
GaN-on-Si MOSHEMT
GaNは広いバンドギャップを持ち、高い耐圧と出力密度を実現します。GaN-on-Siは、高価なGaN基板の代わりに安価なSi基板を使用することでコストを抑えつつ、GaNの優れた特性を活かします。E-mode(エンハンスメントモード)は、通常ONのD-mode(デプレッションモード)と異なり、ゲート電圧を印加しないとOFFになるため、回路の簡素化や消費電力の低減に貢献します。
GaN-on-Si E-mode MOSHEMTは、InGaAsほど高い電子移動度はないものの、高耐圧、高出力という特長から、マイクロ波帯のパワーアンプや高効率スイッチング電源に広く利用されます。高周波特性としては、数GHzから数十GHz帯で高い性能を発揮し、基地局やレーダーシステムなど、高い出力と信頼性が求められる用途に適しています。
比較のまとめ
特性 | InGaAs MOSHEMT | GaN-on-Si E-mode MOSHEMT |
主な特長 | 高い電子移動度、超高速動作 | 高耐圧、高出力、低コスト |
/ | 非常に高い ( > 350 GHz) | 高い (数GHz〜数十GHz) |
主要用途 | ミリ波/テラヘルツ通信、低ノイズ増幅器 | マイクロ波パワーアンプ、スイッチング電源 |
材料特性 | 格子定数の整合、高速電子 | 広いバンドギャップ、高耐圧 |
利点 | 超高速、高周波性能 | 高出力、高効率、コスト効率 |
InGaAsは速度を極限まで追求する用途、GaN-on-Siは電力と効率が重要な用途にそれぞれ強みを発揮します。
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