LCRメーターとは？

電子部品の基本特性を測るための必須測定器

 

LCRメーターの概要

LCRメーターは、電子部品のインダクタンス（L）、キャパシタンス（C）、レジスタンス（R）の値を測定するための測定器です。測定対象となるのは、主にコンデンサ、コイル（インダクタ）、抵抗器などの受動部品で、製造・検査・開発などさまざまな場面で使用されています。

名称の「L」「C」「R」は、それぞれ以下を意味します：

• L（Inductance）：インダクタンス（H）

• C（Capacitance）：キャパシタンス（F）

• R（Resistance）：抵抗（Ω）

 

LCRメーターの用途

LCRメーターは、以下のような場面で活躍します：

• 電子部品メーカーでの受入検査・出荷検査

• 開発部門での回路設計評価

• 教育機関での教材実験

• 修理・保守現場での故障診断

 

測定パラメータの例

LCRメーターでは、以下のようなパラメータを測定できます：

• R（抵抗）

• L（インダクタンス）

• C（キャパシタンス）

• Q値（品質係数）

• D（損失係数）

• ESR（等価直列抵抗）

• Z（インピーダンス）

• θ（位相角）

 

測定モードと周波数

LCRメーターの測定原理は、測定対象に交流信号を加え、その応答からパラメータを算出するものです。

測定モード

• 並列モード（Cp、Rp）

• 直列モード（Cs、Rs）

部品の構造や用途によって使い分けが必要です。

測定周波数

• 低周波タイプ（100 Hz～100 kHz）：汎用コンデンサやインダクタの測定に最適。

• 高周波タイプ（1 MHz～100 MHz）：MLCCやRF用部品の測定に対応。

 

LCRメーターとインピーダンスアナライザの違い

項目	LCRメーター	インピーダンスアナライザ
測定精度	標準的	非常に高い
周波数範囲	数Hz〜数MHz	数Hz〜GHz
主な用途	コンデンサ・インダクタ評価	材料評価、電池解析、広範囲部品
表示	単一周波数での数値	スイープ表示・ベクトル表示も可能

 

LCRメーターの選定ポイント

LCRメーターを導入する際には、以下のポイントに注目して選定することが重要です：

1. 測定周波数範囲：測定対象部品に合った範囲かどうか

2. 測定精度：±0.1%〜±1%など、アプリケーションに応じた精度が必要

3. 表示項目：2パラメータ同時表示、Z-R/θなどの複素表示

4. テストフィクスチャの対応：SMDクリップ、4端子プローブなど

5. PC連携：USB・LAN・RS232などの通信インターフェースの有無

6. 校正証明書の有無：製造業の品質基準に対応しているか

 

おすすめLCRメーター例

メーカー	モデル名	測定周波数	特長
HIOKI	IM3536	4 Hz〜8 MHz	高速測定・高精度、自動判定機能付き
Keysight	E4980AL	20 Hz〜2 MHz	定番ベンチ型、安定性に優れる
TECHMIZE	TH2829Xシリーズ	最大10 MHz	コストパフォーマンスに優れたモデル

 

まとめ

LCRメーターは、電子部品の特性評価において最も基本的な測定器です。測定周波数、精度、表示機能、操作性をよく確認して、用途に合ったモデルを選定することが大切です。高周波対応やESR測定対応などのニーズに応じて、インピーダンスアナライザとの併用も検討すると良いでしょう。