MgO-based magnetic tunnel junctions (MgO-MTJ) とは、スピン(電子の磁気的性質)を利用した次世代デバイス「スピントロニクス」における、最も重要な基幹素子のひとつです。
簡単に言うと、**「2枚の磁石(強磁性層)の間に、ナノメートル単位の極めて薄い酸化マグネシウム(MgO)の絶縁膜を挟んだサンドイッチ構造」**の素子です。
1. 構造と仕組み
MgO-MTJは、主に以下の3層構造で構成されます。
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固定層(Reference Layer): 磁化の向きが固定された層。
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トンネルバリア層(MgO): 電子が「トンネル効果」によって通り抜ける絶縁体。
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自由層(Free Layer): 外部磁界や電流によって磁化の向きを自由に変えられる層。
トンネル磁気抵抗(TMR)効果
この素子の最大の特徴は、2枚の磁性層の向きによって電気抵抗が劇的に変化するTMR効果です。
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並行(Parallel): 両方の磁化が同じ向きのとき、電子が通りやすく低抵抗になる。
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反並行(Anti-parallel): 磁化が逆向きのとき、電子が通りにくく高抵抗になる。
この抵抗の差を利用して、「0」と「1」の情報を記録・再生します。
2. なぜ「MgO」なのか?
かつてはアルミ酸化物(Al-O)が使われていましたが、2004年頃に産総研などが結晶性のMgOを用いることで、性能が飛躍的に向上することを発見しました。(注1)
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巨大なTMR比: 理論的には1000%以上、実験レベルでも600%を超える極めて高いTMR比が得られます(Al-Oでは70%程度が限界でした)。これは、MgOの結晶構造が特定の電子($\Delta_1$ バンド)だけを選択的に通す**「コヒーレントトンネル効果」**を持つためです。
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熱安定性: 半導体製造プロセスにおける高温(400℃程度)の熱処理に耐えられるため、既存のLSI技術と組み合わせやすい利点があります。
3. 主な用途
現在、私たちの身近なところで以下のように活用されています。
| 用途 | 具体的な内容 |
| MRAM(磁気メモリ) | 電源を切ってもデータが消えない、高速・低消費電力な次世代メモリ。 |
| HDDの読み取りヘッド | ハードディスクに書き込まれた微細な磁気情報を読み取る超高感度センサー。 |
| スピンセンサー | 自動車の角度センサーや、生体からの微弱な磁気を検知するセンサー。 |
| AI・脳型計算 | 2026年現在、シナプスの働きを模倣する「磁気メモリスタ」としての研究が進んでいます。 |
4. 最新の動向(2026年現在)
最近では、消費電力をさらに抑えるための**「電圧駆動型MTJ(磁界や電流ではなく電圧で磁化を反転させる)」や、人工知能(AI)の演算を効率化するブレインモルフィック(脳型)システム**への応用が非常に注目されています。特に、これまでの「0か1か」だけでなく、中間的な抵抗状態(アナログ値)を保持できるメモリスタとしての開発が加速しています。
(注1)「2004年頃に産総研などが結晶性のMgOを用いることで、性能が飛躍的に向上」
2004年頃、産業技術総合研究所(産総研)は、結晶性の酸化マグネシウム(MgO)をトンネル障壁層に用いた磁気トンネル接合(MTJ)素子で、巨大な室温トンネル磁気抵抗(TMR)効果を世界で初めて実験的に実証しました。
これは、従来の非晶質(アモルファス)な酸化アルミニウム(Al-O)障壁を用いた素子(室温MR比が最大約70%)の性能を大きく上回る画期的な成果であり、ハードディスクドライブの磁気ヘッドや不揮発性メモリ(MRAM)といったスピントロニクス技術の応用に向けた研究開発を大きく進展させるものとなりました。
主なポイントは以下の通りです。
発見年: 2004年(特に9月にプレスリリース、12月に論文発表)。
技術的特徴: MgOが規則的な原子配列を持つ結晶構造であるため、電子波の散乱が少なく、スピン偏極した電子が効率よくトンネルする「コヒーレントトンネル効果」により、巨大なTMR効果が実現されました。
成果: 室温での磁気抵抗(MR)比が最大180%(後に268%まで向上)に達し、ギガビット級MRAMの開発に道を開きました。
共同研究: アネルバ株式会社や科学技術振興機構(JST)などと共同で、量産技術の開発も進められました。
この研究は、産総研の研究者である湯浅新治氏らによって主導され、その成果は学術誌「Nature Materials」や「Japanese Journal of Applied Physics」などに掲載されています。
出典:Google Gemini
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