MOSキャパシタのコンダクタンス測定
MOSキャパシタの測定でいう「コンダクタンス法(Conductance Method)」は、MOS構造に交流信号を印加し、周波数を変えながら得られるコンダクタンス (G) から、半導体中の界面準位(Interface Trap)などの特性を評価する測定方法です。
1. MOSキャパシタで何を見るのか
MOSキャパシタは、基本的に
Metal ― Oxide ― Semiconductor
の構造になっています。


特に半導体評価では、
酸化膜容量 Cox
MOS容量 C
界面準位密度 Dit
界面準位による損失(コンダクタンス)
酸化膜品質
などを評価します。
2. なぜ「コンダクタンス」を測るのか
理想的なコンデンサなら、交流信号を加えてもエネルギーを消費しないため、基本的には
Y = jωC
となり、実数成分であるコンダクタンス (G) はゼロです。
しかし、実際のMOSキャパシタには界面準位(Interface Trap)があります。
界面準位は、交流信号に応じて
電子を捕獲 → 放出 → 捕獲 → 放出
を繰り返します。
この過程でエネルギー損失が発生するため、測定されるアドミタンスには
容量成分 C
コンダクタンス成分 G
の両方が現れます。
つまり、
「コンダクタンスを周波数の関数として測定することで、MOS界面の欠陥を評価する」
というのがコンダクタンス法の基本的な考え方です。
3. インピーダンスアナライザでは何を測定する?
インピーダンスアナライザでは、MOSキャパシタに例えば
DCバイアス + AC信号
を加えます。
そして周波数を掃引して、
G(f) や C(f)
を測定します。
例えば、
周波数 | 容量 C | コンダクタンス G |
1 kHz | 測定 | 測定 |
10 kHz | 測定 | 測定 |
100 kHz | 測定 | 測定 |
1 MHz | 測定 | 測定 |
10 MHz | 測定 | 測定 |
のようなデータを取得します。
MOSキャパシタの場合、さらにDCバイアス電圧を変化させることも重要です。
つまり、
周波数掃引 × DCバイアス掃引
を行うことで、MOSの状態を詳しく評価できます。
4. コンデンサの「損失」との違い
コンデンサの損失ESRと少し似ていますが、目的が異なります。
一般的なコンデンサでは、
「このコンデンサの損失はどの程度か?」
を見るためにESRやD(Dissipation Factor)を測定します。
一方、MOSキャパシタのコンダクタンス法では、
「半導体と酸化膜の界面にどの程度の界面準位が存在するか?」
を調べることが主目的です。
したがって、MOSキャパシタのコンダクタンス測定では、単純に「Gが小さいほど良い」というだけではなく、Gの周波数依存性が非常に重要になります。
5. 代表的な評価対象:界面準位密度 Dit
コンダクタンス法の大きな目的が界面準位密度 Dit の評価です。
界面準位が多いと、電子の捕獲・放出による損失が大きくなり、特定の周波数領域でコンダクタンスが増加します。
そのため、
G/ω ― 周波数
などの関係を解析して、界面準位の状態を推定します。
6. 実際の測定イメージ
インピーダンスアナライザでは以下のような測定が可能です。
インピーダンスアナライザ
↓ DC Bias + AC測定信号
MOSキャパシタ
↓
C・G測定
↓
周波数特性を取得
↓
界面準位・酸化膜品質を評価
すなわち、
「C-V測定 + G-V測定 + 周波数依存性 → MOS界面状態の評価」
半導体評価用途としての測定が可能です。
7. C-V法との関係
MOSキャパシタでは、C-V法とコンダクタンス法をセットで考えると理解しやすいです。
方法 | 主に見るもの | 主な評価 |
C-V法 | 容量 C | 酸化膜、しきい値、ドーピング等 |
G-V法 | コンダクタンス G | 界面準位、損失 |
C-f測定 | 容量の周波数依存 | 界面準位・応答速度 |
G-f測定 | コンダクタンスの周波数依存 | 界面準位密度 Dit |
インピーダンスアナライザでは、
「C-V測定だけでなく、G-f測定を行ってコンダクタンス法による界面準位評価」
が可能です。










