
MOSFETのサブスレッショルド特性とは、ゲート・ソース間電圧(VGS)がしきい値電圧(Vth)以下の、トランジスタがオンしていないスタンバイ状態のときの、ソース・ドレイン間に流れる電流(サブスレッショルドリーク電流)の特性です。この特性は、特に低電圧・低消費電力で動作する回路設計において重要となり、サブスレッショルドスイング(S値)などの指標で評価されます。
サブスレッショルド特性とは
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ゲート・ソース間電圧(VGS)がしきい値電圧(Vth)よりも低い領域を指します。この領域では、MOSFETは完全にはオン状態になっておらず、いわゆる「オフ」の状態に近いです。
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このオフ状態にもかかわらず、ソースとドレインの間を微量に流れる電流のことを指します。このリーク電流は、トランジスタが完全にオフできないことを示します。
サブスレッショルド特性の評価指標
- サブスレッショルドスイング(S値):サブスレッショルド領域におけるドレイン電流(ID)の変化量と、それに対応するゲート・ソース間電圧(VGS)の変化量の比を表す指標です。単位はV/decadeです。
- S値が小さいほど、わずかな電圧の変化でドレイン電流が大きく変化することを示し、低い電圧でMOSFETを効率的にオン/オフできる能力が高いことを意味します。
なぜ重要なのか
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低消費電力設計:
スタンバイ時のリーク電流が小さいことは、待機電力を抑える上で重要です。
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スイッチング特性:
低電圧でのスイッチング特性が優れていると、スイッチング損失が低減し、回路の効率が向上します。
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短チャネル効果への影響:短チャネルMOSFETでは、ドレイン電圧がチャネルの反転層形成に影響し、サブスレッショルドスイングが劣化することがあります。これは、ゲート電圧による電流の制御性が弱まることを意味します。
次の資料は「MOSFET サブスレッショールド特性」を理解するのに役立ちます。
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