マイクロ波帯(RF/マイクロ波/ミリ波)で用いられるパワーアンプ(PA)は、特に**高い電力付加効率(PAE)**を達成するために、さまざまな動作クラスに分類されます。
古典的なクラス(A, B, AB, C)が線形性と効率のトレードオフを主に見るのに対し、Class-EやClass-Fといった高効率クラスはスイッチング動作と高調波(ハーモニクス)の制御を利用します。
📊 高効率アンプの主要なクラス
特にマイクロ波・RF分野で高いPAEを目指すために用いられる「非線形(スイッチング)アンプ」の代表例は以下の通りです。
| アンプクラス | 動作原理 | 理論上の最大効率 | 主な特徴と応用 |
| Class-F | 高調波終端 (Harmonic Termination)。出力回路(フィルタ)で奇数次高調波を制御し、ドレイン電圧波形を矩形波に近づける。 | 100% | 高い出力電力と高効率を両立。主に高出力RF送信機で使用。 |
| Class-E | スイッチング。出力回路にリアクタンス素子を使用し、トランジスタがON/OFFする瞬間に**ゼロ電圧スイッチング(ZVS)とゼロ電流スイッチング(ZCS)**を実現する。 | 100% | スイッチング損失を最小化。小型化・集積化に適し、無線給電やRFID、携帯端末に利用。 |
| Class-J | Class-B/ABを基本とするが、出力インピーダンスを周波数に応じて調整する。 | 78.5%~100% | 広帯域で高効率を維持できる。最新の無線通信規格に対応。 |
Class-F(高調波終端型)
Class-Fアンプは、トランジスタをスイッチとして動作させ、その効率を向上させるために出力波形の整形を行います。
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動作原理: 出力回路に共振器(LCフィルタ)を用いて、基本波の周波数とその奇数次高調波(3次、5次など)を最適に終端(ショートまたはオープン)します。
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これにより、ドレイン電圧波形を矩形波(理想的には方形波)に、ドレイン電流波形を半波正弦波に近づけます。
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高効率の理由: 電圧と電流が同時に高くなる時間帯を短くすることで、トランジスタでの電力損失(発熱)を最小化し、理論上**100%**の効率を達成します。
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課題: 多数の高調波を正確に制御する必要があり、広帯域化が難しいという課題があります。
Class-E(スイッチング型)
Class-Eアンプは、特定のリアクティブな負荷回路(LC回路など)を設計することで、トランジスタのスイッチング時に生じる損失を極限まで減らします。
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動作原理:
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トランジスタがONになる瞬間に、ドレイン電圧をゼロにする(ZVS: Zero Voltage Switching)。
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トランジスタがONの間に、ドレイン電圧の微分値(傾き)をゼロにする(ZDS: Zero Derivative Switching)。
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(派生クラスで)トランジスタがOFFになる瞬間に、ドレイン電流をゼロにする(ZCS: Zero Current Switching)。
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高効率の理由: ZVSにより、電圧・電流の積によるスイッチング損失がほぼゼロになるため、理論上**100%**の効率を達成します。
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応用: スイッチング動作を基本とするため、高い周波数(特にサブテラヘルツ帯など)でも高い効率を維持しやすい特徴があります。
これらの高効率クラスは、高速で大容量の通信が求められる6G通信やテラヘルツ波応用において、サブテラヘルツ帯パワーアンプのPAE向上に不可欠な技術となっています。
アンプの線形性と効率のトレードオフ、またはClass-Jアンプなどの広帯域技術について詳しく説明しましょうか?
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