1.オシロスコープとは

オシロスコープとは、時間の経過と共に電気信号(電圧)が変化していく、周期的変化をリアルタイムに波形としてブラウン管に表示させ、目では見ることのできない電気信号の変化していく様子を観測できるようにした波形測定器です。

通常、画面表示の水平方向では時間の経過と共に比例して変化する電圧を、垂直軸では観測する信号の電圧を表し、2次元のグラフとして画面上に表示するオシログラフ(※1)です。

高周波信号まで観測できるものが一般的であり、主に波形の分析、高速現象の観測、過渡現象の観測など、電気計測の分野で多く用いられています。

 

2.オシロスコープの原理

オシロスコープは、ブラウン管の電子銃から飛び出した電子ビームを、その前方にある二組の偏向板に加える電圧を加減し、水平方向や垂直方向に進路を曲げ、スクリーン(蛍光面)に衝突させます。そこからリサジュー図形(※2)の描画を応用して波形を描いています。

水平方向からは時間の経過と共に比例して変化する電圧を、垂直方向には観測する信号の電圧を同時に加え、信号電圧の時間的な変化を波形として観測できる仕組みになっています。

ただ単に水平方向と垂直方向に信号を加えただけでは、うまく観測することはできません。両軸の信号の周期を合わす必要があります。

電子ビームを掃引(水平方向に振らせること)するにはノコギリ波を用い、同期をとるためには、垂直軸へ加える信号電圧のどの部分で、ノコギリ波をスタートさせるかを決めることと、それを正確に繰り返すことが必要です。

同期の方式には、「同期掃引方式」と「トリガ掃引方式」の2種類があります。

 

同期掃引方式とは

掃引用のノコギリ波を発生させ、スクリーンの波形を見ながらその周波数を手動で調節し、波形が静止して見えるように同期をとる方式です。

静止した状態で見るためには、観測する信号の周波数と掃引用のノコギリ波の周波数が整数比の関係を保っていることが必要であり、観測信号の周波数成分を取り出し、それを同期信号として手動でノコギリ波の発生周波数が整数比になるように制御する必要が出てきます。

この方式は電子回路の構成が簡単ですが、精度や安定性という観点において、使用者からのニーズに応えられず、現在では主に低周波測定用として限られた場面において使われているようです。

 

トリガ掃引方式とは

同期掃引方式に対しトリガ掃引方式については、観測信号が無い時にはノコギリ波は発生しません。ノコギリ波発生回路が観測信号の有無に関わらず、動作する同期掃引方式とは大きく異なる点です。

観測信号があるとノコギリ波が自動的に発生しスクリーンに波形を描写するため、手動で波形を静止させる必要がありません。信号が入ってくると、その信号の一部を同期信号として取り込み、それからトリガ・パルスを作り、ゲート回路を通してノコギリ波の発生回路が初めて動作しノコギリ波が1個発生する仕組みになっています。

連続的に信号が入ってくると、その度にこの動作を繰り返し波形が次々と描かれることになります。つまり、観測信号が入ってくるとノコギリ波が自動的に発生しスクリーンに波形を描き、同期掃引方式のように手動で波形を静止させる必要がありません。

このトリガ掃引方式では、発生するノコギリ波の周波数を観測する信号の周波数とは無関係に決められるので、波形の一部分だけを蛍光面(スクリーン)に描くことも簡単にできます。

トリガ掃引方式は、垂直軸の電圧目盛や水平軸の(掃引)時間目盛の精度が同期掃引方式に比べて格段に優れています。波形の任意の部分を描くことができ、1度しか発生しないような現象や、高速で変化する現象も観測できます。それため、現在ではオシロスコープの殆どがこのトリガ掃引方式です。