
PFASフリーの電子材料は、環境規制への対応から開発が進んでいます。特に、高い電気特性が求められる電子部品において、PFASが代替される動きが活発になっています。
電子材料におけるPFASの役割と代替の課題
PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances)は、フッ素原子と炭素原子の結合による高い電気絶縁性、耐熱性、撥水・撥油性、非粘着性といった優れた特性を持っています。このため、半導体製造プロセスにおけるフォトレジストや離型フィルム、プリント基板、ケーブルの絶縁体など、多岐にわたる電子材料に使用されてきました。
しかし、その難分解性から「永遠の化学物質」と呼ばれ、環境や人体への影響が懸念されています。このため、PFASの代替となる「PFASフリー素材」の開発が急務となっています。しかし、PFASの持つ優れた特性をすべて代替することは難しく、用途ごとに最適な代替材料が模索されています。
PFASフリー素材と誘電率
電子材料、特に高周波通信機器や半導体基板においては、低誘電率と低誘電正接を持つ材料が求められます。これは、信号の遅延や電力損失を抑え、高速・高効率な通信を実現するためです。
PFASを主成分とするフッ素樹脂は、分子構造が非極性であるため、誘電率が非常に低いという特長があります。この低い誘電率をPFASフリー素材で実現することが、開発における重要な課題です。現在、PFASの代替として、以下の素材が注目されています。
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環状オレフィン樹脂(COP/COC):非極性構造を持つため、フッ素樹脂に匹敵する低誘電率(誘電率約2.1〜2.3)を実現できる可能性があります。耐熱性や耐薬品性にも優れており、高周波基板用途での採用が期待されています。
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ポリオレフィン系樹脂:非極性のため誘電率が低い(誘電率約2.3)ことから、ケーブル絶縁体やアンテナフィルムなどの分野で代替が進められています。
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シリコーン系樹脂:低誘電率かつ低誘電正接の特性を持つため、誘電体材料としての代替が研究されています。
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ポリイミド系樹脂:耐熱性が非常に高く、フレキシブル基板などの用途で使われていますが、低誘電化に向けた改良が進められています。
PFASフリー素材の開発事例
メーカー各社は、用途に応じたPFASフリー素材の開発を加速させています。
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三井化学は、高機能プラスチック「TPX®」(ポリメチルペンテン)をPFAS代替材として提案しています。TPX®はフッ素樹脂と同等の**低い誘電率(約2.1)**を持つことが特長です。
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東レは、先端半導体向けのPFASフリーモールド離型フィルムを実用化し、半導体製造の効率向上に貢献しています。
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DICは、半導体製造用のPFASフリー界面活性剤を開発し、フッ素系製品と同等以上の高い性能を達成しています。
これらの代替素材は、PFASの代替として単一の特性を補完するだけでなく、新たな付加価値(例えば、製造プロセスの改善やコスト削減)を生み出すことも期待されています。
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■FPOR(FABRY-PEROT OPEN RESONATOR) (QWED社:ネクステム株式会社:日本総代理店) EMArges社のFPOR は、10~170 GHz の周波数範囲で電磁特性の『自動』広帯域かつ正確な共振測定を行うための、ガウスミラーを備えた新しいタイプのファブリペローオープン共振器です。
【主な特徴】
詳細情報(QWED社メーカーweb)はこちらをクリックしてください。 |
5G/6G MAESTRO Publishes Materials Development and Electrical Test Roadmap(NIST) |
NIST Advanced Manufacturing Technology (MfgTech) Roadmap5G/6G mmWave Materials and Electrical Test Technology Roadmap (5G/6G MAESTRO) ミリ波材料の特性評価とテストの 10 年ロードマップの作成を目指す最近の iNEMI イニシアチブについて、「低損失誘電体材料特性評価ロードマップ」で説明されており、この研究の一部として当社(EMArges)の測定治具が選択されています (Figure 5. QWED P.15を参照)。
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T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してCeyear社の電子計測器(VNA)による ミリ波帯材料評価に必要なシステムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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