SIGLENT(シグレント)ベクトル信号発生器 SSG6082A-V シリーズ

衛星通信におけるQバンド(33~50 GHz)の最新ニュースおよび動向。主に高スループット化次世代ネットワークへの応用に焦点を当てています。

Qバンドは、従来のKuバンドやKaバンドの周波数帯域の混雑を緩和し、より広帯域高速なデータ伝送を実現するために、GEO衛星およびLEO衛星コンステレーションで重要性が増しています。


 

Qバンド衛星通信の主な最新動向

 

 

1. LEO衛星でのQバンドリンクの実証

 

  • ESA、Telesat、RAL Spaceによる実証: 欧州宇宙機関(ESA)、Telesat、RAL Spaceは、LEO衛星(Telesat LEO 3実証衛星)と地上局(RAL Space Chilbolton観測所)の間でQバンド(38-39 GHz)の通信リンクを確立することに成功しました。

    • これは、LEOコンステレーションにおけるQバンドの集中的な利用を支援する画期的なマイルストーンであり、アンテナの小型化を可能にするため、特に航空機や陸上移動体通信にとって非常に魅力的です。

    • ゲートウェイへのダウンリンクにQバンドを利用することで、KuバンドやKaバンドのスペクトルをユーザー通信用に解放する目的もあります。

 

2. Q/Vバンドの採用拡大と技術革新

 

  • 高スループット衛星(VHTS)とゲートウェイ通信: QバンドおよびVバンド(40-75 GHz)は、超高スループット衛星(VHTS)のフィードアップリンク/ダウンリンク(衛星とゲートウェイ間の通信)として戦略的に採用され、Kaバンドの帯域不足を解消する役割を果たしています。Q/Vバンドは、Kaバンドの2倍以上の利用可能な帯域幅を提供できる可能性があります。

  • 固体増幅器(SSPA)の進歩: 高周波数帯での課題である高出力システムの複雑さや高コストに対し、窒化ガリウム(GaN)を用いた固体電力増幅器(SSPA)の技術進歩が注目されています。SSPAは、従来の進行波管増幅器(TWTA)に匹敵する性能を持ちながら、小型化、製造の容易さ、コスト効率、長寿命化といった利点を提供し、Q/Vバンドシステムのスケーラビリティ向上に貢献します。

  • アンテナ技術: 電子的に操縦可能なアンテナ(ESA)やフェーズドアレイアンテナへの移行が進んでおり、高速ビームスイッチング、リンク信頼性の向上、低遅延を実現し、特に高速で移動するLEO衛星に対応するために不可欠です。

 

3. 5G/6Gとの連携

 

  • Q/Vバンド衛星は、地上5Gネットワークとの統合が進められており、シームレスなハイブリッド接続を実現し、超低遅延高速データ転送をサポートすることで、スマートシティや自動運転車、産業用IoTなどのアプリケーションに新たな可能性をもたらします。


 

Qバンドの背景と課題

 

  • Qバンドの定義: 一般的なQバンドの周波数範囲は33 GHzから50 GHzとされています。

  • 高容量化の必要性: Ku/Kaバンドのスペクトル飽和と、高解像度ビデオストリーミング、遠隔医療などの高容量ブロードバンド接続に対する需要増加が、Qバンドへの移行を加速させています。

  • 主な課題(降雨減衰): Qバンドのような高周波数帯域では、大気減衰、特に降雨減衰による信号の弱化が深刻な問題となります。これに対処するため、高度な変調・符号化技術や、システム信頼性向上のためのインテリジェントなゲートウェイダイバーシティ(複数の地上局を利用する技術)などの開発が進められています。

 

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社/Ceyear社の電子計測器(スペアナ、VSG、VNA)によるQ-Band活用システムの評価に必要なシステムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。http://tm-co.co.jp/contact/