SIGLENT(シグレント) ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA5000Aシリーズ

RCS(Radar Cross-Section:レーダー反射断面積)の低減とは、物体がレーダー波を反射する能力を減少させる技術です。これは主に、軍事分野でのステルス技術に不可欠な要素となっています。

 

RCS低減の基本原理

 

RCSを低減させる主な方法は、電磁波の性質を利用した以下の2つに大別されます。

  1. 電波吸収:物体に電波吸収体を塗布し、レーダー波を熱エネルギーに変換して吸収させます。これにより、レーダー波が反射されなくなるため、RCSを効果的に低減できます。

  2. 電波反射方向の制御:物体の形状を工夫することで、レーダー波をレーダーの方角とは異なる方向に意図的に反射させます。これにより、レーダーに反射波が戻らないようにします。F-117A ナイトホークのような初期のステルス機は、多くの平面で構成された形状でこれを実現しました。より新しいステルス機(F-22 ラプターやB-2 スピリットなど)は、より滑らかな曲面形状を採用し、反射波を拡散させることでRCSをさらに低減させています。


 

RCS低減に用いられる技術

 

上記の基本原理を実現するために、以下のような具体的な技術が用いられます。

  • 電波吸収体(RAM:Radar Absorbent Material):レーダー波のエネルギーを吸収する特殊な塗料や素材です。フェライト系やカーボン系などの種類があり、ステルス機の機体に塗布されています。

  • 形状制御:物体の形状そのものを工夫し、特定の方向への反射を抑えます。表面のファセット(多角形の面)化や、主翼と胴体の滑らかな一体化などが挙げられます。

  • メタマテリアル:人工的に設計された構造を持つ複合材料で、自然界にはない電磁波特性を実現します。特定の周波数帯の電波を拡散させたり、位相をずらして打ち消したりすることで、RCSを低減できます。

これらの技術を複合的に組み合わせることで、ステルス性能は飛躍的に向上します。例えば、F-16の初期型のRCSが約5 22にまで低減されています。

 

RCS(Radar Cross-Section)の単位は、(平方メートル)またはdBsmです。


 

RCS(レーダー断面積)とは

 

RCSは、物体がレーダー波をどの程度反射するかを示す指標です。これは、レーダーが物体を検知する能力を測るために用いられます。RCSの値が大きいほど、その物体はレーダーに探知されやすくなります。

 

単位の詳細

 

  • (平方メートル):RCSは「断面積」という名前が示すように、面積の次元を持つ物理量です。これは、レーダー波を反射する能力を、同じ量の電波を全方向に均一に反射する仮想的な球の断面積に換算して表したものです。つまり、物体のRCSがである場合、それはの断面積を持つ理想的な球と同じくらいレーダー波を反射する、ということです。

 

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(スペアナ、VSG、VNA等)によるRCS評価のシステム提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
https://tm-co.co.jp/contact/