「SIW filter」は、**基板集積型導波路(Substrate Integrated Waveguide, SIW)**という伝送路技術を用いて作られたフィルタのことです。
これは、従来の導波管フィルタの高性能と、平面回路の小型化・低コスト化のメリットを組み合わせた、マイクロ波およびミリ波帯域で利用される高性能なフィルタ技術です。
🔬 SIW(基板集積型導波路)とは
SIWは、誘電体基板内に疑似的な導波管を形成する構造です。
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構造:
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誘電体基板の上下両面に金属層(グラウンドプレーン)を設けます。
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伝送路の両脇を、上下の金属層をつなぐ**ビアホール(金属メッキされた穴)**の列で挟み込みます。
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機能: このビアホールの列が、従来の導波管における金属の側壁と同じ電気的な壁(電界を閉じ込める機能)として働きます。これにより、電磁波はビアホールで囲まれた内部を伝搬します。
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特徴:
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低損失・高Q: 従来の平面回路(マイクロストリップラインなど)に比べて、導波管に近い構造であるため、放射損失が少なく、高いQ値(性能指数)と低い挿入損失を実現できます。
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小型・高集積: 導波管を基板内に埋め込む構造なので、従来の大型な金属製導波管に比べ、大幅な小型化と軽量化が可能です。
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低コスト: 標準的なプリント基板(PCB)製造プロセスで容易に作製できるため、製造コストを抑えることができます。
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📶 SIWフィルタの用途
SIWフィルタは、その高性能、小型、低コストという特徴から、主に高周波・大容量通信システムやセンシングシステムのフィルタ回路として利用されます。
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5G/ミリ波通信: 20GHzを超えるミリ波帯域では、従来の平面回路では損失が大きくなりますが、SIWフィルタは低損失で高い選択度(特定の周波数を選ぶ能力)を提供するため、基地局や端末のフィルタとして適しています。
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レーダーシステム: 自動車の車載レーダーや、航空宇宙・防衛システムで用いられる高性能な**Xバンド(8.2~12.4 GHz)**などの高周波帯のフィルタとして活用されます。
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無線通信・計測機器: 小型で高性能なフィルタが求められる様々な高周波回路モジュールに組み込まれます。
SIWフィルタは、このビアホール構造によって作られる**共振器(キャビティ)**を適切に設計し、その結合度を調整することで、バンドパスフィルタ(帯域通過フィルタ)やバンドストップフィルタ(帯域阻止フィルタ)などの機能を実現します。
Substrate-integrated waveguide (SIW) Devices Design and Modelingは、SIWのデバイス設計とモデリングについて扱っており、SIWフィルタの設計基盤となる知識が得られます。
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