SIGLENT(シグレント)ベクトル信号発生器 SSG6082A-V シリーズ

SMART-L MM radarは、オランダのタレス・ネーデルラント社(旧シグナール社)が開発した、艦艇搭載用の長距離多機能三次元(3D)捜索レーダーです。

これは、従来の長距離捜索レーダー「SMART-L」を大幅に近代化したモデルで、特に弾道ミサイル防衛(BMD)能力を付加し、長距離警戒と追尾の両方を可能にしたことが最大の特徴です。


 

主な特徴と能力

 

 

1. 長距離捜索と広範囲カバー

 

SMART-L MMは、Lバンド(Dバンドとも呼ばれる長波長帯)を使用することで、長距離の電波伝搬特性を最大限に活かし、数百kmから数千kmの範囲を広域かつ立体的に(3次元で)捜索できます。

  • 最大追尾目標数: 航空機、ミサイル、水上目標など、最大1,000個以上の目標を同時に探知・追尾する能力を持ちます。

 

2. 弾道ミサイル防衛 (BMD) への対応

 

「MM」は「Multi-Mission (多任務)」を意味し、従来の航空機や対艦ミサイルへの対応に加え、戦術弾道ミサイル (TBM) の探知・追尾能力を付加しています。

  • 用途: 艦隊の広域防空および弾道ミサイルに対する早期警戒センサーとして機能します。BMDにおいては、飛来するミサイルを可能な限り遠方で検知し、その情報を他の戦闘システム(イージスシステムなど)に共有する役割を担います。

 

3. 先進的なアンテナ技術

 

現代の艦載レーダーの主流である**アクティブ・フェーズド・アレイ・アンテナ(AESA)**技術を採用しており、ビームを高速かつ柔軟に電子的に走査できます。

  • 電子走査: アンテナを機械的に回転させながら(1回転/5秒程度)、ビーム自体も電子的に走査することで、広範囲を迅速にカバーしつつ、特定の脅威に対しては集中的に探知・追尾を行うことが可能です。

SMART-L MMは、NATO諸国を中心に、主に多機能レーダー(例:APARやEMPAR)を補完する長距離捜索・早期警戒センサーとして、駆逐艦やフリゲート艦に搭載されています。