Starlink(スターリンク)が使用している周波数帯域、特にKa帯、および将来的に利用が計画されている**Q/V帯(またはV帯)**は、衛星通信システムの容量と性能を大幅に向上させるために重要です。
1. Starlinkが現在主に使用している周波数帯
Starlinkは、主に以下の周波数帯を利用して、ユーザー端末(ディッシュアンテナ)と衛星、および衛星とゲートウェイ局(地上基地局)間の通信を行っています。
| 周波数帯 | 範囲 (GHz) | 用途 | 特徴 |
| Ku帯 (K-under) | 10.7 – 18 | サービスリンク (ユーザー端末と衛星間の通信) | 多くの衛星放送や通信で実績があり、比較的成熟した技術。Starlinkの主要なユーザー通信帯域。 |
| Ka帯 (K-above) | 26.5 – 40 | フィーダーリンク (衛星と地上ゲートウェイ間の大容量通信) | Ku帯よりも広い帯域幅が確保でき、大容量通信に有利。Starlinkのバックホール通信の主力。 |
StarlinkにおけるKa帯の具体的な役割
Ka帯は主に**フィーダーリンク(Feeder Link)**に使用されます。
-
地上ゲートウェイ局(基地局) ↔ Starlink衛星
-
用途: 衛星がユーザーから集めた大量のデータを、地上ネットワークに降ろしたり(ダウンリンク)、地上から衛星に指令やデータを送ったり(アップリンク)する際に、大容量のバックホール回線として利用されます。
2. Q/V帯の利用と将来性
Q/V帯は、Starlinkが将来的に、あるいは次世代衛星(Gen2など)の導入に伴って、通信容量をさらに拡大するために計画・申請している超高周波帯です。
| 周波数帯 | 範囲 (GHz) | 用途 | 特徴と課題 |
| Q帯 | 37.5 – 50 | 大容量通信 | Ka帯よりもさらに広い帯域幅が確保可能。 |
| V帯 | 50 – 75 | 大容量通信 | Q/V帯とまとめて言われることも多い。 |
| E帯 | 71 – 86 | 大容量通信 | 非常に高周波で、第2世代衛星での利用が認可されている。 |
Q/V帯の重要性
-
容量の飛躍的向上: 周波数が高くなるほど利用できる帯域幅が広くなるため、Q/V帯やE帯を利用することで、Starlinkネットワークの総スループット(データ伝送容量)を大幅に増やすことができます。
-
周波数の枯渇対策: Ku帯やKa帯はすでに多くの衛星サービスや地上無線サービスで利用されており混雑しているため、Q/V帯のような未利用の高周波帯を開拓することで、周波数資源の確保ができます。
Q/V帯の技術的課題
-
降雨減衰(Rain Fade): 周波数が高くなるほど、雨や雪、霧などによる電波の減衰(吸収・散乱)が著しくなります。これは**「降雨減衰」**と呼ばれ、Q/V帯の利用において最大の課題です。
-
大気吸収: 特にV帯の60 GHz付近には酸素分子による強い共鳴吸収があり、衛星通信のリンク設計を複雑にします。
-
技術的な成熟度: Ku帯やKa帯に比べ、Q/V帯に対応する送信機(パワーアンプなど)や受信機(LNBなど)のコンポーネントは、まだ開発コストが高く、商用的に成熟度が低いという課題があります。
Starlinkは、これらの高周波帯と、数百kmという低軌道(LEO)の利点を組み合わせることで、従来の静止衛星(GEO)システムでは困難だった大容量・低遅延な衛星インターネットサービスの実現を目指しています。
![]() |
SSG6M80Aシリーズ ・Coming soon
|
![]() |
![]() |
![]() |
SSA6000A Series Signal Analyzer Main Features ・Coming soon
|
![]() |
SNA6000A Series Vector Network Analyzer Key Features
|











