SIGLENT (シグレント)スペクトル&ベクトル・ネットワーク・アナライザ SVA1000Xシリーズ

薄膜マイクロ波フィルタThin Film Microwave Filter

これは、マイクロ波帯の信号から特定の周波数成分を選択的(ろ波)に取り出すために使用される電子部品で、薄膜技術を用いて作られるのが特徴です。


 

薄膜マイクロ波フィルタの概要

 

 

1. 定義と特徴

 

薄膜マイクロ波フィルタは、主に集積回路(IC)や表面実装(SMD)部品として使用するために、誘電体基板の上に非常に薄い金属や誘電体の膜を形成(成膜)して作られます。

  • 小型・軽量: 薄膜技術により、従来の空洞共振器や誘電体フィルタに比べて極めて小型・軽量化されています。

  • 高精度・安定性: 精密な薄膜プロセスにより、高い周波数選択性(Q値)と温度安定性を実現できます。

  • 用途: 携帯電話、無線通信機器、衛星通信、レーダーシステムなど、高周波・高密度実装が求められる分野で重要な役割を果たします。

 

2. 基本的な構造

 

一般的に、アルミナ()や石英などの低損失な誘電体基板上に、マイクロストリップラインコプレーナ導波路といった伝送線路構造を、金属の薄膜(例:金、銀、銅)で形成し、フィルタの機能を持たせています。

この薄膜のパターンや材料、厚さを精密に制御することで、目的の周波数特性(例:バンドパス、ローパス、ハイパス)を実現します。