TSC (Top-Side Cooling)パッケージをMOSFETとダイオードを組み合わせた回路で使用することの主な目的は、SiC(炭化ケイ素)半導体の性能を最大限に引き出すことです。
TSCパッケージは、熱をプリント基板(PCB)に逃がす従来の方式ではなく、パッケージの上面に露出した金属プレートから直接ヒートシンクへ熱を逃がすことで、熱管理と電気的性能を大幅に向上させます。
💡 組み合わせ回路におけるTSCの利点
MOSFETとダイオードは、インバーターやコンバーター(DC-DC/AC-DC)などのパワーエレクトロニクス回路で常にペアで使用されます(例: ハーフブリッジ、フルブリッジ)。これらの回路でTSCパッケージを使用すると、以下のメリットが得られます。
1. 圧倒的な熱性能の向上
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熱抵抗の低減: SiC MOSFETとダイオードの接合部で発生した熱が、熱伝導性の低いPCBを迂回し、熱伝導性の高い金属プレートを介して直接ヒートシンクに伝わります。これにより、熱抵抗(RthJC)が大幅に低下し、チップの温度上昇を効果的に抑制できます。
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高電力密度: チップ温度が低く保たれるため、同じサイズのチップでもより大きな電流を流すことが可能になり、結果として機器の高出力化と小型化・軽量化(電力密度の向上)が実現します。
2. 超高速スイッチング性能の実現
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低寄生インダクタンス: TSCパッケージは、底面冷却のパッケージに比べ、電気的な接続経路が短く、寄生インダクタンスが非常に低いように設計されています。
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SiC MOSFETは非常に高速でスイッチングできますが、インダクタンスが高いとスイッチング時に大きな電圧オーバーシュートやリンギングが発生します。TSCパッケージはこのインダクタンスを最小化するため、SiCの高速性能をフル活用でき、スイッチング損失を低減し、EMI(電磁干渉)も抑制します。
3. 製造と実装の効率化
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TSCパッケージは表面実装デバイス(SMD)であるため、自動化されたピックアンドプレース(実装)プロセスに適合します。これにより、従来のスルーホール部品(TO-247など)のような手作業での挿入やネジ締めが不要になり、製造コストの削減と品質の安定化に貢献します。
🏭 主な適用分野
MOSFETとダイオードを組み合わせたTSCパッケージは、特に高効率と高電力密度が要求されるアプリケーションで採用されています。
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電気自動車(EV): オンボードチャージャー(OBC)、高電圧DC-DCコンバーター、トラクションインバーター。
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充電インフラ: 公共の急速充電器(スーパーチャージャー)など、大電力を扱うシステム。
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産業用電源: データセンターやサーバー用の電源、太陽光発電(PV)のパワーコンディショナーなど。
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