NFが0.2 dBという超低雑音のLNA(Low Noise Amplifier)を正確に測定するには、非常に高度な測定技術と注意が必要です。

このレベルの低雑音測定では、測定系自体のノイズや不確かさが結果に与える影響が無視できなくなります。

 

🔬 測定方法の選択:Yファクタ法 (高精度版)

NF測定の基本はYファクタ法ですが、0.2 dBという超低NFを測定する場合、以下の点に特に注意したセットアップが必要です。

1. ノイズソースの選択と校正

  • ENR値の選択: NF 0.2 dBのDUTを測定する場合、ENRが極めて低いノイズソースを選択します。

    • 推奨: ENR 5 dB または 6 dB のノイズソース。

    • 理由: ENR値が低いほど、DUTのNFとノイズソースのENRの比が適切になり、Yファクタの計算における感度(誤差)が小さくなります。ENR 15 dBのような高いENR値のノイズソースを使うと、測定誤差が大きくなり、0.2 dBという値の確度が保証できなくなります。

  • ENRの校正: 使用するノイズソースは、国家標準レベルの校正を受けていることが必須です。校正証明書に記載されている**ENRの不確かさ(Uncertainty)**が低いものを選定してください。

2. 測定器(NFアナライザ)の選択

  • NFアナライザ(またはスペクトラムアナライザ+パワーメータ法)自体が持つ固有のノイズが測定に影響しないよう、測定器のNFが十分低い必要があります。

    • 測定器のNFが高すぎる場合は、DUTと測定器の間にセカンドステージアンプ(外部アンプ)を挿入して、測定器のNFの影響を低減する必要があります。


🛠️ セットアップアドバイスと対策

1. ケーブルとコネクタの管理(ロスとVSWR対策)

ケーブルやコネクタのロス(挿入損失)は、NF測定において初段のロスとして扱われるため、測定精度を最も悪化させます。

  • 最短接続: ノイズソース、DUT、NFアナライザ間のケーブル長を可能な限り最短にします。

  • 低ロスケーブル: 使用するケーブルは、測定周波数において極めてロスの低い(例:セミリジッド、高性能フレキシブルケーブルなど)ものを選び、コネクタも最高品質のものを使用します。

  • 接続順序と補正:

    1. まず、ノイズソースとNFアナライザを直結し、NFアナライザのシステムノイズ補正(セカンドステージNFの除去)を正確に行います。

    2. その次に、DUTを接続し、ノイズソースとDUT間のケーブルロスを正確に測定し、NFアナライザのロス補正機能に入力します。

2. インピーダンス整合の最適化

  • NF整合の厳密化: NF 0.2 dBというLNAは、そのNF最小点にインピーダンスが厳密に整合している必要があります。

    • DUTの入力側に、測定周波数でNF整合(Γopt)を実現するための外部整合回路(チューナーやスタブ)を挿入し、最適なNFとなるよう調整することを推奨します。

3. 周囲環境の管理

  • 温度安定化: NFは温度に依存します。特に超低NF測定では、DUTの周囲温度を一定に保つため、恒温槽を使用したり、少なくとも測定環境の温度変動を最小限に抑える必要があります。

  • 外部ノイズの遮断: 測定系全体が外部からの電磁ノイズ(EMI)の影響を受けないよう、シールドされた環境(シールドボックス)内で測定を行うことが理想的です。


🔢 測定誤差の確認:フリース (Friis) の式からの逆算

NF 0.2 dBのLNAの測定誤差を最小限に抑えるには、セカンドステージ(NFアナライザまたは外部アンプ)の影響が無視できることを確認する必要があります。

 

 

 

 

 

 

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 excess noise ratio ENR: 5dB~8dB,
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 Frequency range: 10MHz~18GHz,

 excess noise ratio END: 14dB~17dB,
 output interface type: 3.5mm (m),

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