URLLC: Ultra Reliable Low Latency Communication

Ultra Reliable Low Latency Communication（URLLC：超高信頼低遅延通信）は、5G (第5世代移動通信システム) が提供する3つの主要サービスカテゴリーの1つであり、**「非常に高い信頼性」と「非常に低い遅延」**を同時に実現することを目的とした通信技術です。

この技術は、人命や重要なインフラに関わる、一瞬の遅延や通信途絶が許されないミッションクリティカルな用途のために設計されています。

🌟 URLLCの2つの主要な要件

URLLCは、その名の通り、従来の通信規格では達成が難しかった2つの厳しい要件を同時に満たす必要があります。

1. 超高信頼性 (Ultra-Reliable)

目標: 99.999%（ファイブナイン）以上の接続可用性を実現することを目指します。
意味: 10万回に1回以下の通信失敗率を許容するレベルであり、これは安全性が最優先されるアプリケーションにとって不可欠です。
技術的対策例:
- 多重接続（Multi-Connectivity）: 複数の基地局と同時に接続し、同じデータを複数経路で送受信する冗長化により、いずれかの経路が途絶しても通信を維持します。
- 自動再送技術の高度化: データ送信の確実性を高める技術を使用します。

2. 超低遅延 (Low Latency)

目標: エンド・ツー・エンドの遅延を1ミリ秒 (ms) 程度に抑えること。
意味: 人間が知覚できる遅延（一般的に10ミリ秒以上）を遥かに下回る、リアルタイムの即応性を実現します。
技術的対策例:
- ショートTII (Transmission Time Interval) の利用: データを送る際の最小時間単位を短くすることで、伝送時間を短縮します。
- エッジコンピューティング（MEC）: サーバー機能をユーザーの近く（ネットワークのエッジ）に配置し、データ処理を端末と近い場所で行うことで、長距離のデータセンター往復による遅延を削減します。
- スケジューリングの最適化: 端末が基地局にリソース割り当てを待つ時間を短縮する技術など。

🏢 URLLCの主なユースケース

URLLCは、その高い性能から、社会の安全性や生産性に直結する分野で活用が期待されています。

分野	具体的な用途	要求されるURLLC特性
自動運転/コネクテッドカー (V2X)	車両間通信（V2V）、路車間通信（V2I）、交通管制	危険回避のための即時応答（低遅延）、事故防止のための絶対的な信頼性（高信頼）
産業オートメーション (Factory Automation)	遠隔でのロボット制御、生産ラインのリアルタイム制御	製造プロセスの安定稼働のための高信頼性、精密動作のための低遅延
遠隔医療 (Tele-surgery)	遠隔地からの手術ロボット操作（触覚通信を含む）	人命に関わるため、絶対的な高信頼性と、人間の触覚フィードバックを可能にする超低遅延
スマートグリッド	電力網のリアルタイム監視・制御	瞬時の負荷変動対応やインフラ保護のための超低遅延と高信頼性

💡 5Gの他のカテゴリーとの違い

URLLCは、5Gの3つの主要な特性のうち、特に「信頼性と遅延」に特化したカテゴリーです。

eMBB (enhanced Mobile Broadband): 超高速・大容量（例：高精細動画ストリーミング、AR/VR）
mMTC (massive Machine Type Communication): 多数同時接続（例：スマートメーター、広大な農地のセンサー）
URLLC (Ultra-Reliable Low Latency Communication): 超高信頼・低遅延（例：自動運転、遠隔制御）

これら3つのサービスは、用途に応じてネットワークリソースを柔軟に割り当てる「ネットワークスライシング」によって実現・提供されます。

紹介動画：（エンジャー氏）

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