
VNA(Vector Network Analyzer)は、直接インピーダンスを測定するのではなく、**Sパラメータ(Scattering parameters)**という散乱パラメータを測定することで、インピーダンスを算出します。このSパラメータの測定結果から、インピーダンスへの変換が行われます。
Sパラメータの測定
VNAは、被測定デバイス(DUT)に信号を送り込み、その反射波と透過波の振幅と位相を測定します。
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反射係数(): ポート1から入力された信号に対する、ポート1に戻ってくる反射波の比率。
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透過係数(): ポート1から入力された信号に対する、ポート2から出ていく透過波の比率。
これらのパラメータは複素数で、振幅と位相の両方の情報を含んでいます。
インピーダンスへの変換
VNAの基準インピーダンス(通常は)を使って、測定した反射係数()から被測定デバイスのインピーダンス()を計算します。
変換式は以下のようになります。
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ここで、 はVNAの基準インピーダンスです。
この計算により、Sパラメータの複素数からインピーダンスの複素数()が導き出されます。このインピーダンスは、VNAの画面上でスミスチャートや対数振幅/位相の形式で表示されます。
VNAは、高周波領域での測定に優れており、このSパラメータを介したインピーダンス測定は、単なる抵抗だけでなく、容量性や誘導性の成分を含む複素インピーダンスを正確に評価するのに非常に重要です。
もくじ 1 SNA5004Aの概要 2 4ポートVNAのキャリブレーション 3 差動モジュールの評価 4 フェライトコアの評価 5 バランの評価 6 分配器の評価 7 おわりに |
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