SIGLENT(シグレント) ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA6000Aシリーズ

VNA(Vector Network Analyzer)は、直接インピーダンスを測定するのではなく、**Sパラメータ(Scattering parameters)**という散乱パラメータを測定することで、インピーダンスを算出します。このSパラメータの測定結果から、インピーダンスへの変換が行われます。

 

Sパラメータの測定

 

VNAは、被測定デバイス(DUT)に信号を送り込み、その反射波透過波の振幅と位相を測定します。

  • 反射係数(: ポート1から入力された信号に対する、ポート1に戻ってくる反射波の比率。

  • 透過係数(: ポート1から入力された信号に対する、ポート2から出ていく透過波の比率。

これらのパラメータは複素数で、振幅と位相の両方の情報を含んでいます。


 

インピーダンスへの変換

 

VNAの基準インピーダンス(通常は)を使って、測定した反射係数()から被測定デバイスのインピーダンス()を計算します。

変換式は以下のようになります。


   

ここで、 はVNAの基準インピーダンスです。

この計算により、Sパラメータの複素数からインピーダンスの複素数()が導き出されます。このインピーダンスは、VNAの画面上でスミスチャート対数振幅/位相の形式で表示されます。

VNAは、高周波領域での測定に優れており、このSパラメータを介したインピーダンス測定は、単なる抵抗だけでなく、容量性や誘導性の成分を含む複素インピーダンスを正確に評価するのに非常に重要です。

 

もくじ
1 SNA5004Aの概要
2 4ポートVNAのキャリブレーション
3 差動モジュールの評価
4 フェライトコアの評価
5 バランの評価
6 分配器の評価
7 おわりに

 

 

T&MコーポレーションではSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(VNA)による高周波インピーダンス測定の提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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