SIGLENT(シグレント) ベクトル・ネットワーク・アナライザ SNA6000Aシリーズ

差動伝送路におけるSdd21とSdd12は、Sパラメータの一種で、差動モードでの信号伝達特性を表します。具体的には、Sdd21は入力側(ポート1)から出力側(ポート2)への差動信号の伝達特性、Sdd12は出力側(ポート2)から入力側(ポート1)への差動信号の伝達特性を意味します。

 
詳細:
  • Sdd21 (差動伝送損失/ゲイン):
    差動伝送路において、入力ポート(通常はポート1)に差動信号を入力した際に、出力ポート(通常はポート2)にどれだけ差動信号が伝達されるかを表すパラメータです。値が大きいほど、信号がよく伝達されることを意味します。挿入損失(信号がどれだけ減衰するか)や、差動ゲイン(信号が増幅されるか)を評価する際に用いられます。
  • Sdd12 (差動逆伝送損失/ゲイン):

    差動伝送路において、出力ポート(通常はポート2)に差動信号を入力した際に、入力ポート(通常はポート1)にどれだけ差動信号が伝達されるかを表すパラメータです。Sdd21と同様に、値が大きいほど信号がよく伝達されることを意味します。逆方向の伝達特性を評価する際に用いられます。

     
差動伝送路におけるSddパラメータの重要性:
  • 信号品質の評価:
    Sddパラメータは、差動伝送路における信号の品質を評価する上で重要です。特に、高速デジタル信号伝送やRF回路において、信号の歪みや損失を把握するために用いられます。
  • インピーダンス整合の確認:
    Sddパラメータを分析することで、差動伝送路のインピーダンス整合状態を把握できます。インピーダンス整合がとれていない場合、信号の反射や損失が発生し、信号品質が劣化する可能性があります。
  • 回路設計の最適化:

    Sddパラメータを基に、差動伝送路の設計を最適化することができます。例えば、伝送線路の長さを調整したり、終端抵抗を最適化したりすることで、信号品質を向上させることができます。

     
Sddパラメータの測定:

Sddパラメータは、ベクトルネットワークアナライザ(VNA)を用いて測定できます。VNAは、信号を伝送路に入力し、反射波や透過波を測定することで、Sパラメータを算出します。

 
SddパラメータとS21, S12:

Sdd21とSdd12は、通常のSパラメータ(S21, S12)とは異なり、差動モードでの伝達特性を表します。通常のSパラメータは、コモンモード信号(2つの信号線に共通の信号)に対する伝達特性を表すため、差動信号の伝達特性を評価するには、Sddパラメータを使用する必要があります。

 
まとめ:
Sdd21とSdd12は、差動伝送路における信号伝達特性を評価するための重要なパラメータです。これらのパラメータを理解することで、差動伝送路の設計や性能評価に役立てることができます。
 

 

参考資料: