SIGLENT (シグレント)スペクトラム・アナライザ SSA5000Aシリーズ

Wavelet-OFDM(ウェーブレットOFDM)は、水中通信(海中・水中IoT通信)の分野で応用が期待されている変調方式です。


 

Wavelet-OFDMの概要と水中通信への応用

 

Wavelet-OFDMは、従来のOFDM (Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)に、信号の周波数解析に用いられるウェーブレット変換を適用した変調方式です。

 

特徴と利点

 

  • マルチキャリア変調方式: 多くのサブキャリアを使用することで、周波数選択性フェージング(特定の周波数帯域で信号強度が低下する現象)に強いというOFDMの基本的な利点を持ちます。

  • 水中通信への適用: 水中環境は、信号の伝搬遅延が大きく、ドップラーシフト(送信側と受信側の移動による周波数変化)が発生しやすい、非常に厳しい通信チャネルです。

    • 従来のOFDMでは、これらの影響に対処するためにガードインターバル(信号間に設ける保護時間)が必要でしたが、ウェーブレットベースのシステムは、このガードインターバルのオーバーヘッドを削減できる可能性があります。

    • また、ウェーブレットパケット変調などの技術は、ドップラーシフトが存在する場合に従来のOFDMよりも優れた性能を示すことがシミュレーションで示されています。

    • パナソニックホールディングスが開発したWavelet OFDM方式に基づく技術「Nessum」(旧HD-PLC)は、有線、無線、海中を含む様々な通信媒体(Any Media)で利用可能な国際標準規格(IEEE 1901c)として承認されており、海中・水中IoT通信への応用(微弱電波を用いた無線通信)にも貢献することが期待されています。

 

水中IoT通信での実証

 

  • Wavelet-OFDM技術を用いた水中無線通信システムが、自律型無人潜水機(AUV)などの水中IoTデバイス向けに研究・開発されています。

  • 水中での電波伝搬特性を考慮し、比較的低い周波数帯域を利用することで、数メートルの範囲でUDP/TCP通信を実現する実証実験が行われています。


海底での通信に関する研究は、技術開発と実証実験が進められています。

Hybrid Opto-acoustic Underwater Wireless Communicationの紹介

この動画は、水中無線通信に関する研究開発プロジェクトを紹介しており、Wavelet-OFDMが目指す水中IoT通信の実現性が紹介されています。

出典:【Hybrid Opto-acoustic Underwater Wireless Communication】

ATLA R&D Projects Progress in FY2023 - YouTube