
Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)は、スマートメーターや家電などを接続するための国際的な無線通信規格です。主にスマートグリッドやスマートシティといった分野での利用を想定して開発されました。Wi-SUNは、IEEE 802.15.4g/eなどの規格に基づき、Wi-SUNアライアンスという業界団体が策定・認証を行っています。
主な特徴
Wi-SUNは以下の特徴により、IoT(Internet of Things)分野で広く活用されています。
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長距離通信:1GHz以下のサブギガ帯と呼ばれる周波数帯を使用するため、電波が障害物の後ろにも回り込みやすく、見通しの良い場所では1km、市街地でも数百メートルの通信が可能です。
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低消費電力:省電力設計がされているため、電池駆動の機器でも長期間(10年程度)の稼働が可能です。
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メッシュネットワーク:複数の機器が中継機として機能するマルチホップ通信に対応しています。これにより、広範囲な通信エリアを確保できるだけでなく、通信経路の障害を自動的に回避し、安定した通信を実現します。
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高い信頼性:電波干渉に強く、高いセキュリティ機能(AES暗号化など)を備えています。
活用事例
Wi-SUNは、その特徴を活かしてさまざまな分野で利用されています。
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スマートメーター:日本国内の電力スマートメーターに100%採用されています。電力会社と家庭の間で電力量データを自動でやり取りするために使われています。
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HEMS(家庭用エネルギー管理システム):スマートメーターと家庭内の家電をWi-SUNでつなぎ、電力消費の「見える化」や自動制御を行います。
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スマートシティ:街灯の遠隔制御、交通インフラの監視、スマート農業、物流管理など、広範囲なエリアでのIoT機器の接続に利用されています。
Wi-SUNは、主に920MHz帯の周波数を使用する無線通信規格です。これは、Wi-Fiで一般的に使われる2.4GHz帯や5GHz帯よりも低い周波数帯域で、以下のようないくつかの特徴があります。
Wi-SUNの周波数の特徴
長距離通信
920MHz帯は、2.4GHz帯などに比べて電波の減衰が少なく、障害物を回り込む性質(回折性)が優れています。このため、見通しの良い場所であれば1km程度の長距離通信が可能で、ビルや壁などの障害物がある場所でも安定した通信が期待できます。これは、スマートメーターや農業用センサーなど、広範囲にわたる機器の接続に適しています。
低消費電力
Wi-SUNは、低速ながらも低消費電力で動作するように設計されています。このため、バッテリー駆動のセンサー機器などで長期間にわたる運用が可能です。
免許不要
日本国内では、920MHz帯は特定小電力無線に割り当てられているため、無線局免許などの特別な手続きを必要とせずに利用できます。ただし、最大送信出力は20mW以下に制限されています。
世界の周波数帯
Wi-SUNは国際標準規格ですが、国や地域によって使用される周波数帯が異なります。
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日本: 920MHz帯
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アメリカ: 915MHz帯
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ヨーロッパ: 868MHz帯
このように、Wi-SUNは各国の電波法に準拠した周波数帯域を利用して、スマートメーターやスマートシティなど、さまざまなIoT分野で活用されています。
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