WRC-27(2027年世界無線通信会議)は、2030年頃の商用化を目指す6G(IMT-2030)の運命を左右する最も重要な国際会議です。
国際電気通信連合(ITU)が主催するこの会議では、世界中の国々が集まり、電波という有限な資源をどのサービスに割り当てるかを決定し、国際条約である「無線通信規則(RR)」を改訂します。
2026年現在、WRC-27に向けた準備会合(CPM)等で焦点となっている主な議題を整理しました。
1. 6G用周波数の特定(アジェンダ項目 1.2 / 1.7等)
WRC-27の最大の焦点は、6G(IMT-2030)のためにどの帯域を「国際標準」として確保するかです。現在、以下の3つのレンジが主な検討対象となっています。
ミッドバンド(7GHz 〜 24GHz帯):
特に7.125GHz 〜 15.35GHz付近の帯域が注目されています。
5Gで使われている3.5GHz帯よりも広く、ミリ波よりも遠くまで飛ぶため、6Gの「メイン帯域」候補として各国が調整を行っています。
サブテラヘルツ帯(100GHz超):
92GHz 〜 275GHzといった超高周波数帯の利用検討。
通信だけでなく「センシング(電波で周囲を検知する)」との統合が期待されています。
低周波数帯(センチメートル波):
既存の放送や固定通信が使っている4GHz〜10GHz付近の再編も議論の遡上に載っています。
2. 非地上系ネットワーク(NTN)との調和
6Gの大きな特徴である「空・海・宇宙」へのカバレッジ拡大に向けた法整備です。
衛星・HAPSの利用拡大: 低軌道(LEO)衛星や、高度約20kmを飛行する通信基地局(HAPS)が、地上網と干渉せずに同じ周波数を使えるようにするための技術基準が策定されます。
携帯電話と衛星の直接通信(Direct-to-Device): 市販のスマートフォンが直接衛星と通信するための周波数調整も、WRC-27に向けた重要な検討項目です。
3. 既存サービスとの干渉調整(共存ルール)
新しい帯域を6Gに割り当てる際、既にその帯域を使っている既存サービスとの競合をどう解決するかが法的・技術的な難所となります。
受動業務の保護: 電波天文や気象観測(地球探査衛星)など、電波を発信せずに微弱な電波を受信するだけの業務は非常に繊細です。6Gの電波がこれらを「汚染」しないよう、厳しい不要発射制限(アウトオブバンドエミッション)の規定が議論されています。
公共安全・軍事: 各国の国防や航空管制で使用されているレーダー帯域との共存ルール策定。
4. 日本のポジションと戦略
日本はWRC-27に向けて、総務省を中心に「Beyond 5G推進コンソーシアム(現:XGモバイル推進フォーラム(XGMF)」などを通じて戦略を練っています。
ミッドバンドの確保: 都市部での大容量通信を実現するため、10GHz帯前後の特定を強力に推進。
IOWN技術の反映: 日本が先行する光電融合技術や電力効率の視点を、ITUの技術要件に反映させる働きかけ。
WRC-27までの主要スケジュール
2024年〜2026年: 国内準備会合およびアジア太平洋電気通信共同体(APT)での地域調整。
2026年後半: ITU準備会合報告書(CPM Report)の確定。
2027年後半: WRC-27本会議(約4週間の開催)にて、最終的な無線通信規則の改訂。
WRC-27での決定は、その後のデバイス開発やインフラ投資の指針となるため、通信キャリアやメーカーにとって「2027年が事実上の勝負の年」となります。
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