Ceyear 3674 series VNA (2port, 4port)

共振特性が非対称になる場合、共振回路の等価回路非線形な要素損失が不均一に存在している可能性が高いです。複素誘電率測定においては、この非対称性が測定精度に影響を与えるため、その原因を特定し、補正する必要があります。


 

非対称性の原因

 

共振特性の非対称性は、通常、以下の要因によって引き起こされます。

 

1. 測定系の損失

 

  • 導体損失: 共振器を構成する導体の表面抵抗が周波数によって変化するため、共振ピークの傾きが非対称になることがあります。

  • 誘電体損失: 測定対象である誘電体自体の損失($ \tan\delta $)が周波数依存性を持つ場合、共振ピークが非対称になります。

 

2. 共振モードの干渉

 

  • 不要なモード: 目的とする共振モードの周波数帯域に、他の高次モードや不要なモードが近接して存在すると、これらのモードが干渉し、共振ピークが歪みます。

  • モード結合: 共振器の構造が不完全な場合や、試料の形状が不均一な場合、異なるモードが結合し、非対称なピークを形成することがあります。

 

3. 測定系の非線形性

 

  • カップリング: 信号の入出力を行うカップリングプローブやアンテナが、共振器に対して対称に配置されていない場合、非対称な特性が生じます。

  • 検出器の非線形性: 測定に使用される検出器やアンプが、入力信号の強度に対して非線形な応答を示す場合、共振特性が歪むことがあります。


 

複素誘電率測定への影響と補正方法

 

非対称な共振特性は、(共振の鋭さを示す指標)や共振周波数を正確に読み取ることが難しくなるため、複素誘電率の計算精度を低下させます。

 

1. 補正方法

 

  • 等価回路解析: 共振回路を非対称な要素を含む等価回路でモデル化し、シミュレーションによって非対称性を補正します。

  • フィッティング: 測定された共振特性カーブを非対称な共振曲線モデル(例:Fano共鳴プロファイル)にフィッティングし、フィッティングパラメータから値や共振周波数を算出します。

  • 測定系の改善: カップリングの対称性を確保したり、不要なモードの発生を抑制するための共振器構造を検討したりするなど、測定系自体の改善を行います。

 

2. 複素誘電率の計算式

 

複素誘電率 は、実部 と虚部 に分かれます。

  • 実部 () の計算: 試料を挿入したときの共振周波数のシフトから算出します。非対称性が影響する場合でも、共振周波数のピーク位置は比較的正確に読み取れることが多いです。

  • 虚部 () の計算: 試料を挿入したときの**値の変化**から算出します。非対称な共振曲線では値の定義が難しくなるため、補正が特に重要になります。

は、共振曲線の半値幅から計算されますが、非対称な曲線では左右の半値幅が異なるため、単純な計算では誤差が生じます。このため、上記の補正方法を用いて正確な値を求める必要があります。

 

 

【 3dBポイント法】QWEDが開発しKeysight社が N1500Aopt.003として採用 https://www.qwed.com.pl/resmeas.html
【 Circle Fittingアルゴリズム】QWED最新手法
正確さの詳細を示す論文

https://www.researchgate.net/publication/366108038_Loss_tangent_uncertainty_in_resonant_microwave_characterization_of_dielectric_materials

 

 

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