電磁気学は、電気工学における基礎でありながら、
数式そのものを解くことが設計の目的ではありません。

マクスウェル方程式は、「なぜ電圧や電流がそう振る舞うのか」を空間と時間の関係として説明するための理論です。

 

数式を解くことが目的ではない理由

電磁気学は高度な数学を含みますが、製品設計において必要なのは数式の厳密解ではありません。

高速化・高周波化が進む現代の回路設計では、

・電源と負荷の間で
・空間を通じて
・エネルギーがどのように移動しているか

を理解することが重要になります。

そのため本書では、複雑な数学を物理的意味へ置き換える視点が取られています。

 

4つのマクスウェル方程式の役割

式(1.8)にまとめられた4つの方程式は、
それぞれ異なる現象を表しています。

・電荷が電界を生む
・磁束には始点も終点もない
・時間変化する磁界が電界を生む
・電流と時間変化する電界が磁界を生む

これらは独立した法則ではなく、電磁エネルギーが生成・保存・伝搬される過程を別々の視点から表現したものです。

 

材料特性を結びつける構成方程式

本ページでは、マクスウェル方程式と合わせて次の関係式が示されています。

・導電率と電界(J = σE)
・透磁率と磁界(B = μH)
・誘電率と電界(D = εE)

これらは材料が電磁界にどう応答するかを示す式です。

設計とは、回路を作ることではなく、材料と電磁界の関係を制御することであるという視点がここで明確になります。

 

回路理論との境界線

低周波・低速領域では、回路理論だけで十分な説明が可能です。

しかし、

・配線が長くなる
・立ち上がりが速くなる
・スイッチング周波数が上がる

といった条件では、電圧・電流は「点」ではなく空間分布を持つ量になります。

この瞬間に、設計は回路理論から電磁気学へ移行します。

 

実務設計へのつながり

本ページが強調しているのは、マクスウェル方程式を「計算のための式」としてではなく、

・電源設計
・高速信号
・EMC対策
・ノイズの発生源特定

を理解するための共通言語として扱うという立場です。

数式はそのための地図であり、目的地そのものではありません。

 

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