電子回路や計測の分野では、回路図や測定結果、仕様書を正しく読み解くために、
電子部品の図記号および電源(直流・交流)の基本的な性質を理解しておくことが不可欠です。

本記事では、回路設計・測定・評価の現場で必ず登場する代表的な電子部品と、
直流電源・交流電源の違いについて、工程視点で整理します。

 

電子部品の図記号を理解する重要性

回路図は、電子部品の外形をそのまま描いたものではありません。
各部品の機能を抽象化した図記号によって、回路構成や動作を表現しています。

そのため、図記号を正しく理解できていないと、

・回路動作を誤って解釈してしまう
・測定ポイントを取り違える
・設計者の意図を正しく読み取れない

といった問題が生じます。

 

 

代表的な電子部品とその役割(工程視点)

抵抗(Resistor)

抵抗は、電流の流れを制御するための基本部品です。
電流制限、電圧降下、分圧など、回路の動作条件を決定します。

測定現場では、入力インピーダンス、終端抵抗、負荷条件といった形で重要な役割を果たします。

 

 

コイル(インダクタ)

コイルは、電流の変化を抑制しようとする性質を持つ部品です。

電流を増やそうとすると変化を妨げ、逆に減らそうとすると電流を保とうとします。

この性質により、ノイズ抑制、チョーク回路、電源回路などで広く使用されます。

 

 

コンデンサ

コンデンサは、電気エネルギーを蓄え、必要に応じて放出する部品です。

基本的に直流成分は通さず、交流成分を通しやすいという特性を持ちます。

デカップリング、平滑、ACカップリングなど、測定の安定性に直結する重要な部品です。

 

 

ダイオード

ダイオードは、電流を一方向にのみ流す半導体素子です。

整流回路、逆接保護、クランプ回路など、電源回路や保護回路で不可欠な役割を担います。

 

 

トランジスタ

トランジスタは、スイッチングや増幅を行う能動素子です。

設計だけでなく測定・評価の際にも、動作点やバイアス条件を理解していないと正しい評価ができません。

 

 

電源の基本概念:直流と交流

電子回路で使用される電源は、**直流電源(DC)交流電源(AC)**の2種類に大別されます。

 

 

直流電源(DC)の工程的理解

直流電源とは、時間が経過しても電圧の極性(+/−)および大きさが変化しない電源を指します。

代表例としては電池が挙げられます。

例えば 1.5 V の乾電池は、常に一定の電圧を出力します。

測定・評価においては、基準電圧、バイアス電圧、電源電圧として扱われます。

 

 

交流電源(AC)の工程的理解

交流電源は、時間の経過とともに電圧の大きさと極性が周期的に変化する電源です。

家庭用コンセントが代表例で、日本では実効値 100 V が使用されています。

ただし、実際の電圧波形は正弦波であり、

最大値は約 +141 V
最小値は約 −141 V

の範囲で変化しています。

 

 

実効値(RMS)の考え方

交流電圧の「100 V」は最大値ではありません。
これは **実効値(RMS値)**と呼ばれる値です。

実効値とは、「同じ発熱効果を持つ直流電圧に換算した値」として定義されます。

正弦波の場合、実効値 = 最大値 ÷ √2 の関係が成り立ちます。

 

 

周波数と周期の関係

交流電圧には、周波数という重要なパラメータがあります。

周波数とは、1秒間に波形が何回繰り返されるかを示す量で、単位は Hz(ヘルツ)です。

日本では、

東日本:50 Hz
西日本:60 Hz

が使用されています。

 

 

周期(T)と周波数(f)の関係

1周期に要する時間(周期 T)は、周波数 f の逆数として表されます。

T = 1 / f

例えば、50 Hz の交流では、T = 1 / 50 = 0.02 s = 20 msとなります。

 

 

測定・評価時の注意点(T&M視点)

交流電圧を測定・評価する際は、次の点に注意が必要です。

・実効値と最大値を混同しない
・周波数を必ず明記する
・示波器の Time/Div 設定と周期の関係を理解する
・AC/DC カップリングの違いを把握する

これらを誤ると、測定結果の解釈に大きな差が生じます。

 

 

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