「高電圧光アイソレーション差動プローブ」は、「ガルバニック絶縁された光絶縁型プローブ」であり、特に高電圧環境下での安全かつ高精度な測定を可能にするためのプローブです。
光アイソレーション差動プローブの概要
このプローブは、以下のような特徴と役割を持っています。
- 高電圧対応: 通常のプローブでは測定が難しい、高い電圧の信号を安全に測定できます。
- 差動測定: 2点間の電圧差を直接測定する「差動」方式を採用しています。これにより、基準電位(GND)が不安定なフローティング回路や、コモンモードノイズ(両方の信号線に共通して存在するノイズ)の影響が大きい環境でも、正確な波形を観測できます。
- 光アイソレーション(ガルバニック絶縁): 最も重要な特徴です。
- 電気信号を光信号に変換: プローブの先端部で測定した電気信号を光信号に変換し、光ファイバーを通してオシロスコープ本体(またはコントローラ部)に伝送します。
- ガルバニック絶縁の実現: この光変換により、測定対象回路とオシロスコープ本体が電気的に完全に絶縁されます。これにより、測定対象の高電圧がオシロスコープや測定者に影響を及ぼすのを防ぎ、安全性を確保します。
- ノイズ除去: 電気的な接続がないため、高電圧環境で発生しやすいコモンモードノイズの混入を大幅に抑制し、非常に高いコモンモード除去比(CMRR)を実現します。これにより、微弱な差動信号を高精度で測定することが可能になります。
仕組み
- プローブ先端部(ヘッド): 測定対象の電気信号(差動信号)を受け取ります。
- 電気-光変換: 受け取った電気信号を、LEDやレーザーダイオードなどを用いて光信号に変換します。
- 光ファイバー伝送: 変換された光信号は、電気的なノイズの影響を受けにくい光ファイバーケーブルを通して伝送されます。これにより、高電圧環境から離れた安全な場所にあるオシロスコープまで信号を届けられます。
- 光-電気変換: オシロスコープの入力コネクタ付近(または専用のコントローラ)で、光信号を再び電気信号に変換します。
- オシロスコープへ入力: 変換された電気信号がオシロスコープに入力され、波形として観測されます。
利点
- 安全性: 高電圧回路との電気的絶縁により、オシロスコープや測定者の安全を確保します。
- 高精度な測定: 高いコモンモード除去比により、ノイズの多い環境でも正確な波形観測が可能です。特に、高周波数のコモンモードノイズの影響を受けにくいという大きなメリットがあります。
- 低負荷: 測定対象回路へのプローブによる負荷を最小限に抑えられます。
- フローティング測定: 測定対象回路がグランドに対して浮いている(フローティングしている)場合でも、安全かつ正確に測定できます。
主な用途
- スイッチング電源: 高電圧・高周波で動作するスイッチング電源のリップルやノイズ、スイッチング波形などの正確な測定。
- パワーエレクトロニクス: SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代半導体デバイスの特性評価、インバータやモータードライブ回路の高電圧・高周波信号測定。
- 電気自動車(EV)関連: 充電ステーションやEV内の高電圧バッテリー、モータードライブなどの測定。
- ノイズの多い産業環境: 工場など、電磁ノイズが多い環境での信号測定。
このように、高電圧光アイソレーション差動プローブは、特に高電圧でノイズの多い環境における精密な電気信号測定に不可欠なツールです。
MICSIG社光アイソレーション差動プローブ https://tm-co.co.jp/micsig-moip/
主な特徴
- 周波数帯域:100/200/350/500/800/1000MHz 6モデル
- 最大差動電圧:6250V
- 高いCMRR 180dB(DC),108dB(1GHz)
- コモンモード電圧 最大85kVpk
- 汎用性:BNC端子(50Ω)に対応 (各社オシロスコープで使用可能)
- プローブ電源 USB Type-C 12V
- 豊富なラインナップ、豊富なアクセサリ
- コストパフォーマンス:¥566,000~