
CNIRP(国際非電離放射線防護委員会)は、電磁界へのばく露制限に関するガイドラインを策定している国際的な機関です。ICNIRPガイドラインは、科学的な知見に基づいて、非電離放射線による健康への影響を防止することを目的としています。
最新のICNIRPガイドラインに関する情報は以下の通りです。
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2020年版ICNIRPガイドライン(100 kHzから300 GHzまで)
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2020年に、100 kHzから300 GHzまでの高周波電磁界に関する新しいガイドラインが公表されました。
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このガイドラインでは、全身平均SAR(比吸収率)の値を維持しつつ、周波数範囲を10 GHzから300 GHzまで拡張しています。
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全身平均SARの平均化時間も、6分間から30分間に変更されました。
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また、高周波の局所ばく露の指標として、「吸収電力密度」が導入され、その平均化面積や形状も変更されています。
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知識の隔たりに関する声明(2025年1月)
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ICNIRPは、高周波電磁界に関する研究における「知識の隔たり(Gaps in Knowledge)」について声明を発表しました。
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この声明は、ガイドライン策定に関連する研究に焦点を当てており、特に以下の点について、さらなる分析を奨励しています。
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RFに関連して熱がどのように痛覚を引き起こすか
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複数の電磁界発生源にばく露した際の体温上昇
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RFばく露が眼に及ぼす影響
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将来の研究におけるベストプラクティスに貢献し、将来のガイドラインにおけるばく露制限の適用を改善するため、追加的なドシメトリ研究も提案されています。
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ICNIRPのガイドラインは、非電離放射線による健康リスクを管理するための重要な国際的な基準として、各国の規制や基準に影響を与えています。最新の情報については、ICNIRPの公式ウェブサイトや、関連する公的機関の情報を参照することをお勧めします。
ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)は、電磁界へのばく露制限に関する国際的なガイドラインを策定しています。
スペクトラムアナライザは、このガイドラインに準拠した電磁界測定に用いられる主要な測定器の一つです。
ICNIRPのガイドラインでは、周波数に応じて電磁界のばく露制限値が定められています。スペクトラムアナライザは、測定対象の電磁界の周波数スペクトラムを解析し、それぞれの周波数成分の強度を測定することができます。
スペクトラムアナライザを用いた測定では、以下の点に注意が必要です。
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プローブの選択: 磁界または電界を測定するための適切なプローブ(アンテナ)を選択する必要があります。
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測定方法: 人体ばく露を評価するためには、測定対象となる機器の動作状態、測定場所(人が占める可能性のある領域)、そして測定プローブの掃引方法などが重要になります。
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測定パラメータ: スぺクトラムアナライザの分解能帯域幅(RBW)、ビデオ帯域幅(VBW)などの設定は、測定結果に影響を与えるため、適切な設定が必要です。
ICNIRPのガイドラインに基づいた具体的な測定方法や評価方法については、IECやCISPRなどの国際規格も参考にすることが一般的です。
例えば、Anritsuのフィールドマスタ プロ MS2090Aのような機器は、ICNIRPの規制値に対する電磁界パワーのパーセンテージを測定するアプリケーションを備えている場合もあります。
ICNIRPのガイドラインは、健康への悪影響を防ぐための科学的根拠に基づいており、各国での電磁界ばく露に関する規制の基盤となっています。そのため、スペクトラムアナライザを用いて電磁界測定を行う際は、これらのガイドラインや関連する規格を十分に理解することが不可欠です。