SIGLENT(シグレント) SDS800X HDシリーズ デジタル・オシロスコープ

オペアンプは、高ゲインの差動増幅器で、負帰還(フィードバック)をかけることで様々な回路を構成できます。ここでは、基本的な3つの回路であるインバータノンインバータサマーについて解説します。

これらの回路の動作は、オペアンプの**仮想短絡(バーチャルショート)**という理想的な性質に基づいています。これは、負帰還がかかっている理想的なオペアンプでは、非反転入力端子(+)と反転入力端子(−)の電位が等しくなるというものです。


 

インバータ(反転増幅回路)

 

インバータ回路は、入力信号を反転させて増幅する回路です。出力信号の位相は、入力信号に対して180度反転します。

 

動作原理

 

  • 反転入力端子(−)に信号が入力されます。

  • 非反転入力端子(+)は接地されているため、その電位は0Vです。

  • 仮想短絡により、反転入力端子(−)の電位も0Vになります(仮想接地)。

  • この仮想接地により、入力抵抗 と帰還抵抗 に流れる電流が決定され、その結果として出力電圧 が決まります。

 

回路と式

 

   

この式の通り、増幅率は となり、抵抗比によってゲインを自由に設定できます。


 

ノンインバータ(非反転増幅回路)

 

ノンインバータ回路は、入力信号を反転させずに増幅する回路です。出力信号の位相は、入力信号と同じになります。

 

動作原理

 

  • 非反転入力端子(+)に信号が入力されます。

  • 仮想短絡により、反転入力端子(−)の電位は、非反転入力端子(+)の電位 と等しくなります。

  • この電位差から、出力電圧 が決定されます。

 

回路と式

   

この式の通り、増幅率は となり、ゲインは1倍以上となります。


 

サマー(加算回路)

 

サマー回路は、複数の入力信号のを出力する回路です。主にインバータ回路を応用して構成されます。

 

動作原理

 

  • 複数の入力信号 ... が、それぞれ抵抗 ... を介して反転入力端子(−)に入力されます。

  • 非反転入力端子(+)は接地されているため、反転入力端子(−)も仮想接地により0Vになります。

  • この仮想接地により、各入力信号が独立して電流を流し、これらの電流の合計が帰還抵抗 を流れることになります。

  • この電流の合計が、出力電圧 を決定します。

 

回路と式

 

   

すべての抵抗値が等しい場合、例えば とすると、式は次のようになります。

   

この回路は、入力信号の和を求めることができます。

 

まとめ:

 

   

 

 

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