
オペアンプは、高ゲインの差動増幅器で、負帰還(フィードバック)をかけることで様々な回路を構成できます。ここでは、基本的な3つの回路であるインバータ、ノンインバータ、サマーについて解説します。
これらの回路の動作は、オペアンプの**仮想短絡(バーチャルショート)**という理想的な性質に基づいています。これは、負帰還がかかっている理想的なオペアンプでは、非反転入力端子(+)と反転入力端子(−)の電位が等しくなるというものです。
インバータ(反転増幅回路)
インバータ回路は、入力信号を反転させて増幅する回路です。出力信号の位相は、入力信号に対して180度反転します。
動作原理
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反転入力端子(−)に信号が入力されます。
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非反転入力端子(+)は接地されているため、その電位は0Vです。
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仮想短絡により、反転入力端子(−)の電位も0Vになります(仮想接地)。
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この仮想接地により、入力抵抗 と帰還抵抗 に流れる電流が決定され、その結果として出力電圧 が決まります。
回路と式
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この式の通り、増幅率は となり、抵抗比によってゲインを自由に設定できます。
ノンインバータ(非反転増幅回路)
ノンインバータ回路は、入力信号を反転させずに増幅する回路です。出力信号の位相は、入力信号と同じになります。
動作原理
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非反転入力端子(+)に信号が入力されます。
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仮想短絡により、反転入力端子(−)の電位は、非反転入力端子(+)の電位 と等しくなります。
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この電位差から、出力電圧 が決定されます。
回路と式
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この式の通り、増幅率は となり、ゲインは1倍以上となります。
サマー(加算回路)
サマー回路は、複数の入力信号の和を出力する回路です。主にインバータ回路を応用して構成されます。
動作原理
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複数の入力信号 、、... が、それぞれ抵抗 、、... を介して反転入力端子(−)に入力されます。
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非反転入力端子(+)は接地されているため、反転入力端子(−)も仮想接地により0Vになります。
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この仮想接地により、各入力信号が独立して電流を流し、これらの電流の合計が帰還抵抗 を流れることになります。
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この電流の合計が、出力電圧 を決定します。
回路と式
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すべての抵抗値が等しい場合、例えば とすると、式は次のようになります。
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この回路は、入力信号の和を求めることができます。
まとめ:
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