Ceyear社 4082シリーズ シグナル・スペクトラムアナライザ ~110GHz

V2X(Vehicle-to-Everything)通信技術は、車とあらゆるものがネットワークでつながることで、安全運転支援や交通効率の向上を目指すシステムです。この通信で使われる主な周波数帯と変調方式は、技術規格によって異なります。

 

📡 V2Xの周波数帯

 

日本では、主に以下の2つの周波数帯が使われます。

  • 760MHz帯: 日本で先行して実用化された「ITS Connect」システムで使われている周波数帯です。電波の伝搬特性が良く、見通しの悪い交差点やカーブでも安定した通信が可能です。主に車車間(V2V)や路車間(V2I)の通信に利用されています。

  • 5.9GHz帯: 国際的にV2X用途で割り当てが進められている周波数帯です。日本でも今後の協調型自動運転の実現に向け、既存の無線システムとの共存性を考慮しながら割り当てが検討されています。将来的に大容量・高速な通信が必要とされるユースケースで活用が期待されています。


 

📶 V2Xの変調方式

 

V2Xの変調方式は、主に採用されている通信技術規格によって異なります。

 

1. DSRC(Dedicated Short Range Communication)

 

DSRCは、IEEE 802.11p規格に基づく通信方式で、Wi-Fiの技術を車載用に最適化したものです。日本では760MHz帯で使用されています。

  • 変調方式: OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)

    • OFDMは、複数の副搬送波にデータを分割して送信することで、マルチパスによる干渉に強く、高速な通信を可能にします。

  • 変調符号化方式: BPSK, QPSK, 16-QAM, 64-QAMなどが使用されます。これにより、通信品質に応じてデータ伝送効率を調整できます。

 

2. C-V2X(Cellular-V2X)

 

C-V2Xは、LTEや5Gといった携帯電話技術をベースにした通信方式です。

  • 変調方式: OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)SC-FDMA(Single Carrier Frequency-Division Multiple Access)

    • OFDMAはLTEの下り通信(基地局から端末)で、SC-FDMAは上り通信(端末から基地局)で使われる方式です。C-V2Xの直接通信(車両間など)では、SC-FDMAが主に使われています。これは、送信電力の変動が少なく、バッテリー消費を抑えるのに適しているためです。

  • 変調符号化方式: QPSK, 16-QAM, 64-QAMなどが使用されます。

DSRCとC-V2Xは、同じ5.9GHz帯を使用することがありますが、技術規格が異なるため相互に直接通信することはできません。そのため、車両やインフラの機器は、どちらか一方、あるいは両方の規格に対応する必要があります。

 

 

T&MコーポレーションではSIGLENT/Ceyear社の電子計測器(スペアナ、オシロスコープなど)によるV2X開発に必要な提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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