高電圧半導体CV特性測定器 TECHMIZE TH51Xシリーズ

半導体のドーピングプロファイル(ドーパント濃度分布)を測定する方法には、用途や求められる精度に応じて様々な種類があります。主要な測定方法をいくつか紹介します。

 

1. 二次イオン質量分析法(SIMS)

 

SIMSは、最も広く使われるドーピングプロファイル測定法の一つです。試料表面に一次イオンを照射し、スパッタリングによって放出された二次イオンの質量と量を分析することで、深度方向の元素濃度を測定します。

  • 特徴: 高感度で、特定の元素(ドーパント)の濃度を非常に高い精度で定量できます。深さ方向の分解能も高く、イオン注入プロセスの評価などに適しています。

  • 欠点: 測定に時間がかかり、試料は測定中に破壊されます。


 

2. 拡がり抵抗法(SRP)

 

SRPは、試料の表面に微細なプローブを接触させ、電流を流して抵抗を測定することで、キャリア濃度を算出する方法です。プローブを移動させたり、試料を段階的に研磨しながら測定することで、深さ方向のプロファイルを得ます。

  • 特徴: ドーピングプロファイルを比較的簡単に得ることができ、深さ分解能も高いです。SIMSと比べて安価な場合が多いです。

  • 欠点: 試料を斜めに研磨する必要があるため、試料は破壊されます。プローブの接触抵抗など、測定条件によって精度が影響を受けることがあります。


 

3. 静電容量-電圧法(C-V法)

 

C-V法は、半導体と電極の間に形成されるPN接合やMOS構造の静電容量が、印加電圧によって変化する性質を利用してキャリア濃度を測定する方法です。空乏層の広がりが電圧に依存することを利用し、ドーピングプロファイルを非破壊で算出します。

  • 特徴: 非破壊で測定できるため、プロセス評価や品質管理に適しています。また、簡便で比較的短時間で測定が可能です。

  • 欠点: 空乏層が広がる範囲しか測定できないため、測定できる深さに限界があります。高濃度の半導体や、急峻な濃度変化を持つプロファイルでは精度が低下することがあります。


 

4. 走査型プローブ顕微鏡(SPM)ベースの測定法

 

SPM技術の進化により、非常に高い空間分解能でドーピングプロファイルを測定する方法が開発されています。

  • 走査型キャパシタンス顕微鏡(SCM): 導電性の探針を試料表面に接触させ、探針-試料間の静電容量の変化を測定することで、ドーピング濃度と極性(n型/p型)をマッピングします。半導体デバイスの微細な2次元ドーピングプロファイル解析に特に有効です。

  • 走査型拡がり抵抗顕微鏡(SSRM): SCMと似ていますが、探針-試料間の抵抗を測定します。より高濃度の試料に適しています。

特徴:

  • 高空間分解能: ナノスケールでの2次元ドーピングプロファイルを得ることができ、微細なトランジスタの特性評価に不可欠です。

  • 非破壊または半破壊: 通常は試料を破壊せずに表面の情報を得ますが、断面を測定する場合は試料を破壊します。


 

その他の測定法

 

  • 電解C-V法(ECV): C-V法と化学エッチングを組み合わせることで、より深いプロファイル測定を可能にします。

  • ホール効果測定: 半導体のキャリア濃度や移動度などを測定する方法ですが、通常は均一な試料の評価に使われ、プロファイル測定には層を剥離しながらの測定(ストリッピング・ホール効果法)などが必要です。

  • ラザフォード後方散乱分光法(RBS): 高エネルギーのイオンを試料に照射し、散乱された粒子のエネルギーを測定することで、元素の種類と深さ分布を分析します。SIMSに比べて感度は劣りますが、非破壊または半破壊で測定できます。