
スカラロボットは、産業用ロボットの一種で、主に組み立てや搬送作業に使用されるロボットです。
正式名称は**「水平多関節ロボット」、または英語の頭文字をとって「SCARAロボット」**と呼ばれます。
SCARAの由来
SCARAは Selective Compliance Assembly Robot Arm の略で、「特定の方向の柔軟性を持つ組み立て用ロボットアーム」といった意味合いです。山梨大学の牧野洋教授(当時)らによって1980年ごろに開発されました。
スカラロボットの特徴
スカラロボットは、その構造から以下の点が大きな強みとなっています。
特徴 | 詳細 | メリット |
構造 | 水平方向に動作する複数の回転軸(通常2軸または3軸)と、先端部分を垂直に(上下に)動作させるZ軸で構成されています。 | 構造が比較的単純なため、制御が容易で低コストです。 |
動作の特化 | 水平方向の動作に特化しており、人間の腕のような動きが可能です。 | 水平方向の動作が高速で、サイクルタイム短縮に貢献します。 |
剛性 | 垂直方向の剛性が高いため、垂直方向の力に対するブレが少なく、押し込み(圧入)やねじ締めなどの作業に適しています。 | 精度の高い組み立て作業が可能です。 |
設置面積 | 可動範囲の割に設置面積が小さく、省スペースでの設置が可能です。 | 工場内のレイアウトの自由度が高まります。 |
主な用途
その高速性と垂直方向の剛性の高さから、主に以下のような単純な繰り返し作業や組み立て作業で広く活用されています。
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ピック&プレース(Pick & Place): 製品や部品を高速で取り出し、別の場所に正確に置く作業。(半導体や電子部品、食品関連で多用されます)
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ねじ締め: 先端に電動ドライバーを取り付け、正確かつ高速にねじを締め付ける作業。
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圧入・挿入: 部品を所定の位置に押し込んだり、穴に差し込んだりする組み立て作業。
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液体塗布: 基板などへの接着剤やシーリング材の塗布作業。
こちらの資料では、「SCARA Robots」について詳しく解説されています。
出典: SCARA Robots |