高抵抗計/fA計/電位計 TECHMIZE 型式:TH269X シリーズ

チップ貫通電極(TSV: Through Silicon Via)は、半導体チップを垂直方向に接続するための技術であり、3次元積層(3D Integration)において不可欠な要素です。

これは、チップのシリコン基板を垂直に貫通する電極(ビア)のことで、従来のチップ端部での配線やワイヤーボンディングに代わる、高性能な接続手段を提供します。


 

1. TSVの構造と機能 🏗️

 

TSVは、以下のような構造と機能を持っています。

項目 詳細
構造 Siウェハまたはチップを貫通して形成された、銅(Cu)などの導電性材料で埋められた垂直な穴(ビア)。周囲は酸化膜などの絶縁層で覆われます。
機能 上下に積層されたチップ(または、チップとインターポーザー)間で、電気信号を垂直かつ最短距離で伝達します。
プロセス 主に、回路形成後にウェハを薄化し、裏面から穴を開けて電極を埋め込むTSV-lastプロセスや、回路形成前にTSVを先に作るTSV-firstプロセスなどがあります。

 

2. TSVによる主なメリット 🚀

 

TSVは、従来の2次元的なチップ実装技術と比較して、以下の大きなメリットをもたらします。

メリット 従来の配線技術(ワイヤーボンディングなど)との比較
超短配線化 接続経路がチップを貫通する垂直方向になるため、配線長が劇的に短縮されます(たかだか数十 μm)。
低遅延・低消費電力 配線長が短いことで、信号伝送に伴う寄生容量抵抗が大幅に減少し、信号の遅延が最小化され、結果として消費電力も低減されます。
高密度化 TSVを微細なピッチ(間隔)で高密度に配置できるため、チップ間のI/O端子数(接続密度)が飛躍的に向上します。
高性能・高機能 広帯域化が可能となり、CPUとHBM(High Bandwidth Memory:DRAMTSVで積層したもの)など、異なる機能を持つチップのヘテロジニアス(異種)集積を可能にします。

 

3. 主要な応用事例

 

TSVは、現在以下の先端半導体製品で広く活用されています。

  • HBM(High Bandwidth Memory): DRAMチップを多数(8〜12層など)垂直に積層し、TSVで接続することで、データ転送速度を大幅に向上させたメモリ。

  • 3次元積層CMOSイメージセンサ: イメージセンサの画素部と信号処理回路を別チップとして積層し、TSVで接続することで、高性能化・多機能化を実現。

  • Co-Packaged Optics (CPO): 電子チップ(CPU/GPU)と光チップ(フォトニクス)をパッケージ内で集積する際にも、TSVが電力供給や制御信号の接続に使われます。