CEYEAR(セイヤー)3674シリーズ ベクトル・ネットワーク・アナライザ

多結晶ダイヤモンド(PCD)基板上に窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)を作製する技術は、主に高出力・高周波デバイスの熱問題の解決を目指した、非常に重要な研究開発分野です。

この組み合わせは、GaNの優れた電気的特性とダイヤモンドの究極的な熱特性を融合させることを目的としています。


 

💎 なぜ多結晶ダイヤモンド(PCD)基板なのか?

 

GaN-HEMTは非常に高い電力密度で動作しますが、その結果として発生するジュール熱を効率よく逃がす必要があります。熱が蓄積すると、トランジスタの性能低下、信頼性の低下、寿命の短縮につながります。

  • ダイヤモンドの熱伝導率: ダイヤモンドは、既知の物質の中で最も高い熱伝導率(室温で約 2000 W/mK以上)を持ちます。これは、従来のGaN-HEMTに使われる主要な基板材料である**SiC(炭化ケイ素)**の約5倍、**Si(シリコン)**の約15倍にあたります。

  • 熱抵抗の低減: GaN層の真下にダイヤモンドという究極のヒートスプレッダを配置することで、デバイスの熱抵抗を大幅に低減し、GaN-HEMTの出力電力と動作寿命を向上させることができます。


 

🔬 作製技術の主な課題

 

多結晶ダイヤモンド(PCD)基板上にGaN-HEMTを直接作製するには、いくつかの技術的な障壁があります。

 

1. 異種材料接合 (Heterogeneous Integration)

 

GaNを高品質に成長させるためには、結晶構造や格子定数が近い基板(サファイアやSiCなど)を使用するのが一般的です。ダイヤモンドは結晶構造が大きく異なるため、直接成長は非常に困難です。

 

2. GaN層とダイヤモンド基板間の界面熱抵抗

 

  • 課題: 最も重要な課題の一つが、GaN層とダイヤモンド層の間に存在する接合界面です。この界面で熱が伝わりにくくなる現象(界面熱抵抗)が発生すると、ダイヤモンドの高い熱伝導率を活かせなくなります。

  • 解決策: この界面熱抵抗を最小限に抑えるために、GaNとダイヤモンドの中間に**超薄膜のバッファ層(中間層)**を挿入したり、GaN層を直接ダイヤモンド上に接合する技術が研究されています。

 

3. 多結晶ダイヤモンドの品質

 

  • PCDの使用: GaNの高品質な単結晶膜が得られる「単結晶ダイヤモンド基板」は非常に高価であるため、比較的低コストで大面積化が可能な多結晶ダイヤモンド(PCD)基板が一般的に検討されます。

  • 表面粗さ: PCD基板は単結晶に比べて表面の**粗さ(ラフネス)**が大きい傾向があり、これがGaN結晶の品質や界面の熱抵抗に悪影響を与えることがあります。


 

💡 研究開発のアプローチ

 

現在の研究開発は主に以下の二つのアプローチで進められています。

  1. 直接成長法 (Direct Growth):

    • SiCやサファイア上にGaNを成長させた後、元の基板を除去し、GaN層の裏側に**CVD法(化学気相成長法)**などを用いてダイヤモンド薄膜を直接形成する。

  2. 接合法 (Bonding):

    • 別々に作製されたGaN-HEMT構造のウェハとダイヤモンド基板を、原子レベルで平坦な界面を形成しながら貼り合わせる(例:接合界面にSiCなどの薄い中間層を用いる)。

この技術が確立されれば、現在の無線基地局、レーダー、衛星通信といった分野の**高出力アンプ(増幅器)**において、大幅な小型化と高性能化が実現すると期待されています。

 

 

下記資料では「2インチ多結晶ダイヤモンド(PCD)基板上にGaNトランジスタ(GaN-HEMT)を作製」について詳しく解説されています。

https://sumitomoelectric.com/press/2025/05/prs032

 

 

 

 

 

 

 
下記資料では「次世代パワー半導体を理解するためのパワエレ基礎」について動画で詳しく解説されています。
 
 
次世代パワー半導体を理解するためのパワエレ基礎コース-パワエレ初級から中・上級へステップアップしよう!全12回視聴して、初級から中・上級へステップアップ確実!うけおいます! 【本シリーズ全12回のリスト】
第1回 整流ダイオード、バイポーラトランジスタ、ショットキーバリアダイオードの基本原理を理解し、バイポーラ型・ユニポーラ型の長所短所を知ろう
第2回 MOSFET、IGBT、サイリスタの基本原理を理解し、オンオフさせる妙技を知ろう   • ②MOSFET、IGBT、サイリスタの基本原理を理解し、オンオフさせる妙技を知ろう-...  
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第5回 Web回路シミュレーターの活用(ボタンを選択するだけ!パワエレの回路動作がビジュアルで理解できる便利な無料ツール!)
第6回 Si-IGBTの新構造が続々登場!進化はまだまだ止まらない
第7回 SiC, GaN, 酸化ガリウムGa2O3, ダイヤモンド半導体を全部解説
第8回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) a)PFC回路 b)サーバー、通信
第9回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) c)太陽光発電 e)蓄電システム
第10回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) e)UPS f) インダクション・ヒーター
第11回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) g) 急速充電 h) ワイヤレス給電
第12回(シリーズ最終回) SiCパワー半導体の電気自動車EVへの使用例(走行用インバータ、オンボード充電器を一気に解説)
 
【本パワエレ基礎コースの目次】
1.パワーエレクトロニクスの基本の基本編 a)パワー半導体デバイスの種類 次世代パワー半導体の理解を目的に分類し特長を解説 (整流ダイオード、バイポーラトランジスタ、MOSFET、IGBT、GTO) b)そもそも電力変換って、何のために、何をしてるの? 4方式(DCDC、DCAC、ACDC、ACAC)の例を挙げて理解
2.損失の考え方と電力変換の高効率化 a)電力変換とは?その測定例 b)高効率が求められる背景 c)MOSFET損失の簡単な計算例 d)Web回路シミュレーターの活用
3.次世代パワーデバイスの種類と概説 a)Si-IGBTの新構造が続々登場 b)シリコンカーバイド c)窒化ガリウム d)酸化ガリウム e)ダイヤモンド
4.パワーデバイスの最新応用例 (特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) a)PFC回路 b)サーバー、通信 c)太陽光発電 d) 蓄電システム e) UPS f)インダクション・ヒーター g)急速充電 h) ワイヤレス給電 i) 電気自動車への利用(オンボード充電器、トラクションモーター)
5. その他(本シリーズ外で動画公開中+順次新規公開) a)パワーデバイスの市場動向(2,3カ月毎) b)パワーMOSFETの高性能を引き出す設計例 c)新興アプリケーション紹介
 
--------このチャンネルの目的------------
 
SiCパワーデバイスの最新技術や特徴を分かりやすく説明したYouTubeチャンネルです。    / @sic-powersemiconductor   パワー半導体とは?なんに役立ってるの? 最近よく聞くワイドバンドギャップ・パワー半導体って何? なぜ今、SiC、GaN、酸化ガリウムやダイヤモンドが注目を浴びているの? シリコンのパワー半導体と比べて何が違うの?その特徴と長所は? どんなところ(装置や製品)に使われるの? パワー半導体の旬な情報を丁寧に分かりやすい動画にしてアップしています。 資料のご請求・ご質問がありましたらいつでもご連絡下さい。
 
出典:SiCパワー半導体推進部
 
 
 
 

 

 

 

SSG6M80Aシリーズ
マルチチャネル・コヒーレント・マイクロ波信号発生器
主な特長
・最大周波数 13.6 GHz/20 GHz
・出力周波数分解能 最大0.001 Hz
・位相ノイズ < -136 dBc/Hz @ 1 GHz、オフセット 10 kHz(測定値)
・コヒーレントモード、搬送周波数 = 10 GHz、周囲温度変動 ±2℃、観測時間 5時間、位相変動 < 1.5°
・チャンネル間の周波数、振幅、位相を個別に調整可能。単一デバイスチャンネル同期および複数デバイスチャンネル位相同期をサポート。位相メモリ機能搭載
・アナログ変調、パルス変調(オプション)

・Coming soon

 

 

SSA6000A Series Signal Analyzer

Main Features
・Measurement Frequency Range: 2 Hz ~ 50 GHz
・IQ Analysis Bandwidth: 1.2 GHz
・Real-time Spectrum Analysis Bandwidth: 400 MHz
・Phase Noise: -123 dBc/Hz @ 1 GHz, 10 kHz offset
・DANL: Less than -165 dBm/Hz
・Demodulation and analysis of signals from multiple mobile communication standards including 5G NR, LTE/LTE-A, WLAN, and IoT, as well as wireless connections.

・Coming soon

 

SNA6000A Series Vector Network Analyzer

Key Features
・Frequency Range: 100 kHz ~ 50 GHz
・Dynamic Range: 135 dB
・IF Bandwidth Range: 1 Hz ~ 10 MHz
・Output Power Setting Range: -60 dBm ~ +20 dBm
・Supports 4-port (2-source) S-parameter measurements, differential (balanced) measurements, time-domain analysis, scalar mixer measurements, etc.
・Optional accessories include electronic calibration kits, switch matrix, and mechanical switches.
・Coming soon

 

 

 

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