QST基板を用いた高耐圧GaN HEMTデバイスは、従来のシリコン(Si)基板上GaNデバイスが抱えていた課題を克服し、次世代パワー半導体の高性能化と低コスト化を実現する革新的な技術です。
QST (Qromis Substrate Technology) 基板は、特にGaN(窒化ガリウム)結晶の成長に最適化された複合材料基板です。
🚀 QST基板の主な特長と高耐圧化への貢献
QST基板がGaN HEMTデバイスの高耐圧化と大口径化に貢献する主要な理由は、その熱膨張係数(CTE) の特性にあります。
1. GaNとの熱膨張係数の一致
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課題の克服: 従来のGaN on Si (シリコン基板上GaN) では、GaNとSiのCTEが大きく異なるため、高温でのエピタキシャル成長後に冷却すると、大きな熱応力が発生し、GaN膜に反りやクラック(ひび割れ) が生じました。
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QSTの解決策: QST基板は、GaNと熱膨張係数がほぼ同等になるように設計されています。これにより、熱応力が大幅に抑制され、高品質で欠陥が非常に少ない厚膜のGaNを成長させることが可能になりました。
2. 高耐圧化の実現 (厚膜GaNの成長)
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耐圧と膜厚の関係: GaN HEMTのようなパワー半導体の耐圧は、ドレイン-ゲート間にかかる電界を遮断するためのドリフト層(GaN層)の厚さと結晶品質に強く依存します。膜が厚いほど、高い耐圧を実現できます。
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QSTの優位性: QST基板は、熱応力を抑制できるため、従来のSi基板では困難だった10µmを超える厚いGaN膜(資料によっては20µm以上)の成長を実現できます。この厚膜GaNにより、デバイスの高耐圧化(650V級から1200V超まで)が可能になります。
3. 大口径化と低コスト化
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QST基板は、既存の300mm(12インチ)のSi半導体製造ラインで利用できるサイズでの提供が進められています。
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大口径基板での製造は、一度に多くのチップを生産できるため、デバイスの製造コストを大幅に削減することに繋がり、GaNパワーデバイスの普及を加速させます。
📈 応用分野
QST基板を用いた高耐圧GaN HEMTデバイスは、その高い性能とコスト競争力から、以下のような幅広い分野で応用が期待されています。
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電気自動車 (EV) のオンボード充電器やインバータ
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AIデータセンターやサーバーの電源
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産業機器の電源
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再生可能エネルギー関連機器(太陽光発電インバータなど)
この技術は、GaNの優れたポテンシャル(高耐圧、低損失、高速スイッチング)を活かし、電力変換効率の向上とシステム全体の小型化に大きく貢献します。
下記資料では「QST基板を用いた高耐圧GaN HEMTデバイス」について詳しく解説されています。
300mm QST基板を用い高耐圧GaN HEMTデバイスを開発、信越化学 出典:EETimes
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2511/17/news028.html
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