高電圧(HV)コンデンサーは、数千ボルト(V)以上の電圧に耐え、安定して動作できるように特殊な設計がされています。
コンデンサーの耐電圧性能は、電極間に挟まれた**誘電体(絶縁体)**の材質と厚み、そして部品の構造によって決定されます。
🏗️ 高電圧コンデンサーの設計と構造
高電圧コンデンサーの設計で最も重要なのは、誘電体の絶縁破壊を防ぐことです。
1. 誘電体の選択と厚み
高電圧コンデンサーは、高い絶縁破壊強度を持つ誘電体(絶縁材料)を使用します。
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誘電体(絶縁体):
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ポリプロピレン (PP) フィルム:優れた絶縁性と低損失性があり、高い耐電圧を要求されるフィルムコンデンサーによく使われます。
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セラミック:小型でありながら高耐圧を実現できるため、高周波の高電圧回路に使われます。
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油入式(進相コンデンサーなど):電力系統で使われる大型コンデンサーでは、油を誘電体として使用したり、絶縁材と含浸させて絶縁性を高めたりします。油は自己回復作用や冷却効果もあります。
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厚み:
基本的な原理として、電極間の電圧を一定に保つために、耐えるべき電圧が高いほど、電極間の距離、つまり誘電体の厚みを厚くする必要があります。
2. 絶縁距離の確保(沿面距離)
高電圧が流れる端子や電極間は、空気中や表面を伝って放電(スパーク)が起きないよう、**十分な距離(沿面距離)**を確保するために設計されています。
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例えば、電力系統で使用される大型の高圧コンデンサーでは、端子をケースから引き出す部分に**碍子(がいし)**と呼ばれる磁器製の大きな絶縁体を使用し、表面の距離を長くしています。
種類と主な用途
高電圧コンデンサーは、用途に応じてさまざまな種類があります。
1. 高圧進相コンデンサー (Power Factor Correction Capacitor)
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特徴: 交流の高電圧(6.6kVや3.3kVなど)で使用され、主に電力系統や大規模工場の変電設備に設置されます。
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役割: 系統の力率を改善し、無効電力を低減することで、電力供給の効率を高めます。油入式、ガス封入式、モールド式などの種類があります。
2. フィルムコンデンサー (Film Capacitor)
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特徴: ポリプロピレンなどのフィルムを誘電体として使用し、高絶縁性、低損失、高い容量安定性を特徴とします。極性がありません。
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役割: EVのインバーター、太陽光発電(PV)のパワーコンディショナー、高周波・高電力のスイッチング電源回路など、高い信頼性と効率が求められる分野で、DCリンクやスナバ回路などに使用されます。
3. セラミックコンデンサー (Ceramic Capacitor)
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特徴: 小型で高耐圧品があり、高周波特性に優れています。
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役割: 高電圧電源の**ノイズ除去(フィルタリング)**や、高周波回路における信号の結合・切り離しなどに使用されます。
4. アルミ電解コンデンサー(高耐圧品)
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特徴: 大容量を確保しやすい一方で、寿命があり、極性があります。
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役割: 電源回路の直流電圧の平滑化や、一時的な大容量の確保(バルク容量)に使用されます。
⚡ 高電圧コンデンサーの利用例
高電圧コンデンサーは、瞬間的な高電力の放出、または系統の安定化に利用されます。
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カメラのストロボ:電池から電気を貯め、瞬間的に数千ボルトに昇圧し、一気に放電させて閃光を発生させます。
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X線装置やレーザー:高電圧を蓄積し、必要なタイミングでパルス放電させて、装置を動作させるための高エネルギーを供給します。
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EV・ハイブリッド車のインバーター:バッテリーとモーターの間で、電力変換の安定化(電圧の平滑化)を図るために使用されます。
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