SiC(炭化ケイ素)が持つ超低VF(順方向電圧)と低RDS(on)(オン抵抗)は、シリコン(Si)半導体に対する最大の優位性であり、電力損失を劇的に削減する鍵となります。
これは、SiCが**ワイドバンドギャップ(WBG)**半導体という特殊な性質を持っていることに由来します。
⚡ 1. 超低VF (順方向電圧) の意味
VF とは?
VF(Forward Voltage:順方向電圧) とは、ダイオードやトランジスタのボディダイオード(内蔵ダイオード)が電流を流し始めるために必要な最低限の電圧降下のことです。
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低い VFの意味: VFが低いほど、導通状態にあるときにそのデバイスで消費される電力(損失)が少なくなります(Ploss = IF X VF)。
SiC ダイオードの場合
SiCダイオード(特にショットキーバリアダイオード:SBD)は、従来のSi PN接合ダイオードと比較してはるかに低い VFを実現します。
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メリット:
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低導通損失: 特に低電流時や低負荷時における電力損失が大幅に削減されます。
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デッドタイム損失の低減: インバーターなどの回路で、主スイッチがオフになっている期間(デッドタイム)に電流がボディダイオードを流れる際の損失が小さくなります。
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📉 2. 低 RDS(on) (オン抵抗) の意味
RDS(on)とは?
RDS(on)(Drain-Source On-Resistance:ドレイン-ソース間オン抵抗) とは、MOSFETが完全にオン状態にあるとき、ドレイン端子とソース端子の間に存在する電気抵抗のことです。
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低い RDS(on)の意味: RDS(on)が低いほど、MOSFETがオン状態にあるときの電力損失(導通損失)が少なくなります(Ploss = ID2 X RDS(on))。
SiC MOSFETの場合
SiC MOSFETは、特に高耐圧(1200V以上)の領域で、従来のSi MOSFETやIGBTと比較して非常に低いオン抵抗を実現します。
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ワイドバンドギャップ材料の恩恵:
SiCはSiの約10倍の高い絶縁破壊電界強度を持ちます。これにより、高耐圧デバイスに必要なドリフト層(電流をブロックする層)を、Siデバイスよりも薄く、かつ低抵抗に設計することが可能になります。
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高耐圧MOSFETのオン抵抗の大部分はドリフト層の抵抗が占めるため、この構造的な優位性が低 RDS(on)の最大の理由です。
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📈 総合的なメリット
超低VFと低RDS(on)という特性は、電力変換の効率に直接貢献します。
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高効率化: 導通損失が少ないため、インバーター、電源、充電器などの機器で変換効率が向上します(発熱が減る)。
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小型化・軽量化: 損失が少ないということは、必要な放熱部品(ヒートシンク)を小さくできるため、機器全体の小型化・軽量化(高電力密度化)が可能になります。
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高温動作: SiCは耐熱性が高いため、低損失と相まって、より高い温度(例:175℃)で安定して動作できます。
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